外科医を「医師であると同時に職人」と考える上原氏は、難度が高く、時間のかかる手術も厭わない。直腸がんが局所再発し、骨盤内の他の臓器に広がっているような場合は、それらを全て取る「骨盤内臓全摘手術」も行う。
「大がかりな手術をするのは、私が安全で確実に施行できると判断したケースになりますが、少しでも手術をためらう患者さんには、絶対に勧めていません。手術には危険が伴いますから。もし、医師も患者さんも、リスクを負いたくなければ本当は何もしないのが一番安全なんですよ。よく言うのですが、患者さんとは“運命共同体”。患者さんが『この手術に賭けたい』と覚悟を決めたら、私は全力で応えます」
医師として患者に向き合うとき、私の性別は関係ない
重要視しているのは、患者たちとのコミュニケーションだ。
「私は医師として、病気ではなく、病気を持った人間を見ているんです。人によってゴールは違うし、患者さんが求めるものを理解するには、家族や仕事のことなど、バックグラウンドも含めて知っておくべきだと思っています。患者さんだって信頼できる医師に診てもらいたいはず。だからこそ対話が必要なんです」
その腕が見込まれて、上原氏は8月1日から、順天堂大学医学部附属順天堂医院の、大腸・肛門外科の主任教授として赴任することが決まっている。
「大切なのは、患者さんのために何ができるかということです。医師として患者に向き合うとき、私の性別は関係ないと思っています」
そう語る上原氏。今の戸籍上の性別は女性だが、男性として生まれ育った経歴を持つ、トランスジェンダーなのである。
《この続きでは、上原氏が語る性自認や戸籍上の性別の変更、医師の仲間たちの応援、大腸がん治療の世界的権威・森谷冝皓氏との出会いなどを取り上げている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および7月30日発売の「週刊文春」で読むことができる》
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