京都の料亭「菊乃井」の長女として生まれ育ち、若女将をつとめる村田紫帆さん(43)は、 “婿を取る”ために長年お見合いを続け、元・商社マンの夫である知晴さんと33歳で結婚。料理人ではないところから菊乃井に入った夫が馴染むまでの苦労を間近で見ながら、離婚まで考えたことも。何が転機になったのだろうか。紫帆さんが10年間の結婚生活を振り返った。
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サラリーマン生活で築いた自信や人脈を使えない“苦しみ”
「結婚10年」で大きな壁のひとつとして語られたのは、夫・知晴さんが菊乃井に馴染むまでの時期のこと。サラリーマン生活で築いた自信や人脈を「全部が全部使えない世界」に飛び込んだ夫の苦しみを、紫帆さんは間近で見ていたという。
子どもが生まれる前は、「私自身が相手が苦しんでいるところは見たくなくて、子どもがいいひんのやから、離婚してしまったほうが……」とまで思いつめていた時期もあった。
「このまま苦しんではるくらいやったら、こちらから離縁を申し出たほうが(夫が)楽になるんじゃないかなと。人の人生を、縛る権利が私にはないであろう、みたいな」(紫帆さん)
さらに、知晴さんに対して「いまなら前の会社に戻れるんじゃないか」と思う気持ちが態度に出てしまい、喧嘩になったこともあったという。
転機になったのは2019年、長男が誕生してから。ふたりとも「子どものために生きる」というシフトチェンジが起き、紫帆さんは「息がしやすくなった」ようだ。
小学1年生になった息子に跡を継いでほしいかと問われると、紫帆さんは「ないです」ときっぱり答えた。息子の祖父である菊乃井の3代目・村田吉弘さんと夫の知晴さんは、息子に5代目を継ぐことを期待しているといい、家族の中でもそれぞれの考え方がある。
紫帆さんにとっては、「男の子じゃなかったから」という子どもながらに“要らない負い目”を感じた経験が大きく、「本人が好きなことをしたらいい」と思っているという。そのうえで、息子の将来に対する深い思いをインタビューの最後に明かしている。
