「北の国から」の物語がはじまったのは、バブル景気前夜。世の中が好景気に浮かれ便利な暮らしを享受する中、主人公の黒板五郎(田中邦衛)と、純と螢(中嶋朋子)の2人の子供は電気もガスもない真逆の暮らしをする。貧しくても幸せな生き方があることを世に問うた。

(左から)田中、地井武男、倉本氏

「クリエイティブな作業がなくなっちゃった」

「僕はドラマを作るとき『虎の巻』と呼んでいる巻物(創作ノート)を見返します。1926年から起きた国内外の出来事、世相・流行、音楽、映画、テレビ番組、コマーシャルなんかをいっぱい書き込んでおいて、ドラマ作りのときに参考にするんです。

 バブル期以降をみていくと、コンビニがそこらじゅうにできて、携帯電話、今ならスマホをみんなが持ち歩くようになった。バブルを経て日本人の生活はガラッと変わったと思うの。その時に変わらなくていいものまで変わっちゃったんだね。要らないものまで何でも手に入って豊かになりすぎてしまった。

 同時にテレビの作り方も変わってしまった。テレビマンが浮かれて番組に金をかけるのも当たり前になった。番組について真剣に考えず、不必要な金の使い方をするようになった。それでドラマはつまらなくなったと思う。

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『北の国から』も実はその影響を受けています。制作費はどんどん膨れ上がっていった。その分、作品の質が良くなった一面もあると思う。一方で、もし金をかけなければ悪くなったかというと、そうは思えない。なぜならバブルになる前の、初期のスタッフの熱意と智恵はすごかったから。

いしだあゆみ他共演者と倉本氏(左から2人目)

 大切なのはドラマに金をかけない工夫をするということ。知識より智恵でもって生み出す。今のドラマはクリエイティブな作業がなくなっちゃったんだね」

 倉本氏が「北の国から」でクリエイティブにあふれる場面として挙げたのが、「北の国から’84夏」の、五郎一家がラーメン店で夕食をとる場面だ。閉店間際、早く店を閉めたい店員が、純の食べかけのラーメンを下げようとする。それに五郎が「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」と激怒し、店員と揉める。

《インタビューでは名シーン「まだ食ってる途中でしょうが!」の誕生秘話の他に、いしだあゆみやガッツ石松の素顔、「北の国から」アニメ化構想などを、倉本氏が語っている。記事の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」もしくは8月6日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる》

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