先手を打ったのは麻生だった。麻生の意を受けた山口俊一議院運営委員長が森英介衆院議長と協議し、森が7月1日に突如、与野党幹事長らを国会に招集した。森は、あくまでも私的な想いだと前置きして、「今の状況を憂慮している。皇室典範改正案が提出されたが、喫緊の課題で早急に結論を出す必要がある。選挙制度、副首都も重要な法案で、与野党双方が審議に参加できるよう互譲の精神で進めて欲しい」と伝えた。
その意味するところは、国会を正常化するために、与党は副首都法案や定数削減法案で野党に譲歩しろということだ。この議長仲裁は官邸にも直前まで知らされておらず、官邸幹部は「一体誰が仕掛けてきたんだ」と憤り、犯人捜しも行われた。
インドへの極秘メール
だが、高市と吉村もただでは引き下がらなかった。皇室典範改正案を最優先で審議するものの、定数削減法案と副首都法案は特別国会で「最大2回の延長を含め成立させる」とする覚書案が作成された。維新が覚書締結を求めたのは「皇室典範改正案だけ成立させて、自民に『食い逃げ』される」(維新幹部)と警戒したからだ。ところが、覚書の存在が報じられると、野党が猛反発してあえなく幻と化した。維新は定数削減法案と副首都法案を潰したい自民側がリークしたと確信している。
水面下で動いたのは、あの男だ。
「定数削減法案は臨時国会へ先送りして、皇室典範改正案と副首都構想関連法案を成立させたい。吉村代表と藤田文武共同代表にも受け入れてもらいました」
7月2日夜、首相補佐官にして維新の国対委員長も務める遠藤敬は高市にメールした。インドでモディ首相との首脳会談を終えたばかりの高市は、「ありがとうね。申し訳ない」と返信。定数削減法案の先送りが決まった瞬間だった。
※この続きでは、間もなく実施と見られている「内閣改造と党人事」のポイントを解説しています。約5000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年9月号に掲載されています(赤坂太郎「ついに壊れた高市と麻生」)
出典元
【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作全文掲載 小砂川チト「ゾンビ回収婦」/「高市総理よ、日本を壊すな」細川護熙/がん15部位 早期発見ガイド
2026年9月号
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