1時間後ようやくやって来たバスに乗り、15時過ぎに金湯館に到着。チェックインを済ませてから奥の28号室に投宿する。母親と弟が来られなくなったことは事前に伝えていなかったが、夕方、2人分の夜と翌日朝の食事をキャンセル。夕食をとって以降は、宿の温泉に入った以外、部屋から出て来なかった。
翌13日8時ごろ朝食を済ませてから、持参していたカメラをアルバイトの男子学生に渡し、金湯館の水車を背景に記念写真を撮影してもらう。
10時、チェックアウト。横川駅までの道のりを前日に購入した運動靴を履き帰ろうとする井上さんを見かねて、金湯館の女将(同27歳)が「女性1人だと危ないし、歩いたら3時間以上かかるのでマイクロバスに乗った方がいい」と提案したが、彼女は「大丈夫です。歩いて帰ります」と答え宿を後にする。ちなみに当日の現地の気温は30度を超えていたそうだ。
13時ごろ、金湯館から約1キロ下った坂を1人で歩く井上さんを2人連れの客が目撃する(他に5人の目撃者がいたことが後に判明)。彼らの話によると、このとき彼女は白っぽい帽子、上は紺か紫のブラウス、下は白のミニスカート姿だったそうだ。
不思議なのは井上さんが移動に要した時間である。宿を出てからすでに3時間。成人女性だと15分ほどで歩けるはずなのに、なぜこんなに時間がかかったのか。理由はわかっていない。
それから1時間後の14時ごろ、同じ金湯館に泊まっていた親子3人組が宿から約5キロほどの地点を徒歩で下山する井上さんに遭遇。
「良かったら(自分たちの車に)乗っていきませんか?」と声をかけたものの、彼女は丁寧に申し出を断る。あくまで歩いて帰ることにこだわっていたようだが、結果的にこれが最後の目撃情報となった。
◆◆◆
のちに宿から離れた小屋で見つかったのは「彼女の遺体」だった……。さらに24ヶ所に刺し傷、さらに心臓がえぐられ、肋骨3本が折れていることが判明。いったい何が。
