1972年、群馬県の霧積温泉へひとり旅に出かけた24歳の女性が消息を絶った。翌日、宿から3.5キロ離れた作業小屋で見つかったのは、24箇所も刺され、心臓をえぐられた凄惨な彼女の遺体だった。

 1人で徒歩下山中に突如として奪われた命。遺体発見までの不可解な足取りと現場に残された痕跡は、何を示しているのか。

 昭和の日本を震撼させた凄惨な事件の行方と、被害者のカメラに残されていた“不気味な写真”の正体とは――。

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 鉄人社の新刊『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』よりお届けする。(全2回の2回目)

写真はイメージ ©getty

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蠅が群がる小屋のなかには…

 消息を絶った井上さんを家族は心配し、15日に姉(同28歳)が現地で妹の行方を探し、16日には父親が伊勢崎署に失踪届を提出するとともに、近隣住民10人と「私設捜索隊」を編成し、旅館周辺を探し回る。

 と、同日16時30分ごろ、宿から約3.5キロ離れた林道の脇に古びた作業小屋が見つかった。建物に蝿が群がっているのを不審に感じた父親らが中に足を踏み入れる。