母と兄といとこ2人の家族
──監督ご自身はどういった家庭で成長されたのでしょうか?
中野 僕が6歳の時に親父が亡くなって、そこからは母と兄との3人暮らし。おもしろかったのは、そこにいとこのお姉ちゃんがふたり加わって、4人きょうだいのように育ったことです。いとこは早くに両親を亡くしていたんです。一緒に暮らしたわけではないのですが、近くに住んでいて母は親代わりのようでした。僕にとっての家族は、そんな感じなんです。
──普通……ではないですね。
中野 そうですね。僕の家なりの家族のかたちがあって、そのなかでいろんな経験をするうちに、僕も40半ばで遅い結婚をして新しい家族ができて……いろいろ考えて生まれた映画が『私はあなたを知らない、』なんです。
──子どもの頃、ご自身の境遇をほかの家族と比べることはなかったのでしょうか?
中野 さっき言ったように、いつも食卓を囲んで一緒にご飯を食べてたんです。少し複雑な家庭だったけど、だから僕は孤独を感じることはなかった。母がちゃんとご飯を作ってくれて、ちゃんとみんなで食べて、不幸と思ったことはまったくなかったですね。そんな僕が映画をつくるとき、「家族最高! イェーイ!!」なんて言うつもりはまったくなくて、なにかと問われたら「やっぱり、いいよね」くらいは言いたい。作家として家族を描くとき、表現にマイナスとプラスがあるとしたら、僕はプラスの方をやらせてもらいますよ、と思っています。

