「男が好きで何が悪い?」

 石井は、キャスター時代の高市がメイク室で高らかにこう宣言したのを覚えている。

「総理大臣になる!」

 だが、それを聞いた人の大半は、ジョークと捉えたようだった。

ADVERTISEMENT

「政界は男の競争社会とされていた時代でしたから、女性が総理を目指すと公言すること自体が型破りなことだった。みんな『そっか、頑張れよ』と相手にしない感じでした」

日本維新の会参院議員の石井苗子氏は、若かりし日にテレビ番組で高市早苗氏と共演した ©時事通信社

 それでも石井だけは「この人は本気だ」と確信していたという。

「彼女は、女性が社会で重要なポジションを担うことの必要性を常に考えてきたのだと思います。総理として、国を大きく動かすリーダーになりたいと考えていたのでしょう」

 バブル崩壊前後の時代。石井は時に、高市と政治談義を交わすこともあった。

「この国には素晴らしいものがたくさんある。それを次の世代が自覚できるようにしたいの」

 いささか楽観的すぎる考えの高市に、石井はシビアな見方をぶつけた。

「今後、少子高齢化が深刻になる。女も男も、1人でも子育てできる環境作りが必要だと思う」

「総理になりたい」と公言していた高市だが、「総理としてやりたいこと」は曖昧だったようにも見える。

 一方、この頃の高市は、著書「30歳のバースディ」(92年)の中で赤裸々な男性経験を披露するなど、自らの奔放さを隠さなかった。石井に対しても、男性に対する積極的な姿勢を見せていたという。

「ある年のバレンタインの前に、デートプランを話し合ったことがありました。彼女は『万一のことも考えて、ホテルを予約したほうがいいかな』というので、私が『それは相手がやることじゃないの』と言うと『まだ相手がおらんのよ』なんて」

 総理大臣になるという野望を胸に秘めつつ、奔放に振る舞う高市は、石井の目に眩しく映った。

「野心家で、異性への関心も強いタイプというのは、男性では珍しくないでしょう。まだ保守的な価値観が残っていた当時、『女だって男が好きで何が悪い?』と堂々と発言することは、彼女なりの戦い方でした」

※この続きでは、立憲民主党参院議員の辻元清美氏が、高市早苗首相との親交を語っています。約7000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年9月号に掲載されています(河野嘉誠「女性政治家が見た奔放と野望」)。

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋PLUS」で購読できます
女性政治家が見た奔放と野望

出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作全文掲載 小砂川チト「ゾンビ回収婦」/「高市総理よ、日本を壊すな」細川護熙/がん15部位 早期発見ガイド

2026年9月号

2026年8月10日 発売

1480円(税込)

Amazonで購入する 目次を見る
次のページ 写真ページはこちら