――転売! 意外すぎるキーワードが出ましたね(笑)。
鳥 マルキ・ド・サドが18世紀末に書いた『ソドムの百二十日』というヤバい小説がありますが、サドがバスティーユ監獄の中で書いた自筆原稿の羊皮紙を、さまざまな人が受け継いでいく顛末を書いたノンフィクション(『サド侯爵の呪い 伝説の手稿「ソドムの百二十日」がたどった数奇な運命』/日経ナショナル ジオグラフィック)を読んだときに、時代によって評価が逆転するのっておもしろいと思ったんです。
――ひょんなきっかけで昔の作品が発掘されて話題になることってありますよね。
鳥 魔夜峰央先生の『翔んで埼玉』みたいに、発表から40年近く経って爆発的な話題になる例もありますし、何がいきなり評価が上がるかだれにもわからない。今、大切にしてくれる人にできるだけ大切にしてもらえる本を作っていきたいですね。
“やらない”と決めていること
――作品を作る上で信条としていることはありますか。
鳥 嘘は書かないように。
――嘘と創作の境目はどのように考えますか。
鳥 そこは本当に難しい。自分にとっての「嘘」は書かないということですかね。自分は嘘だと思っていても本当だったこともあるし。取材すれば嘘から逃れられるかというとそうとも言えない。「私は間違っているかもしれないよ」というアティテュードは持ち続ける。間違っている可能性はあっても、「私は今こう思っている」は本当。これは両立すると思います。
――思ってもいないことを思っているように言う嘘はバレますね。
鳥 世の中、思っていないようなことを言いながら「私は正しいです」って言っている人がけっこう多い。その逆をやっていくのがいいんじゃないかな。
撮影=末永裕樹/文藝春秋
◇インタビューの後編は、9月4日(金)の配信を予定しています。
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