極限状態を経験した人間を描く
──主人公である安達3尉のキャラクター設定についてですが、続編では変化したのでしょうか? あるいは成長したのでしょうか?
砂川 わたしは、極限状態を経験した人間はきっと何らかの変化をしてしまうのだろう、と考えながら物語を構想していましたが、主人公の内側が変わったかどうか、または変わらない部分も残っているのではないかというのもひっくるめて、最後は読者の“読み方”次第になるものと思っています。
──続編では、ロシアの民間軍事会社であるワグネルに所属する傭兵の視点からも描かれています。その意図についてお聞かせください。
砂川 前作『小隊』では相手の動向の分からなさ(全体像の見えなさ)というのが一つの特徴だったように思うのですが、今回は「(前作『小隊』とは逆に)“相手”を描くことで作品がより立体的になるのではないか」、という話を柏葉さん(作画担当)としたうえで、ワグネルの2人組を登場させることになりました。
──今回は釧路における戦いが主な舞台です。市街戦の描き方について苦労した点などありましたら、お聞かせください。
砂川 わたしは地図や地形や勢力図を見ながら配置を考えていただけなので、実際それを画に落とし込む苦労は、柏葉比呂樹さん(作画担当)の方がもっとずっとしていると思われます(笑)。
──小説とマンガ原作における執筆の違いについて、お聞かせください。
砂川 小説とマンガ原作は共通点よりもむしろ「違い」の方がずっと多く、何からどう手をつけるべきか分からず、はじめはとにかく苦労しました。柏葉さんにマンガ原作の一般的なお話などをうかがいながら手探りで書き進めていくうちに、(これは小説と似ているかもしれませんが)物語が自然と走りだしていくような感じがありました。
──続編を楽しみにしている読者へのメッセージをお願いします。
砂川 今作では、新たに相手から見た“前線”が描かれます。『小隊』とも『越境』とも違う、もう一つの作品世界をみなさんにお届けできればと思います。
すなかわ・ぶんじ
1990年大阪府生まれ。小説家。元自衛官。2016年、「市街戦」で文學界新人賞を受賞しデビュー。22年、「ブラックボックス」で芥川賞を受賞。著書に『小隊』『臆病な都市』『越境』など。








