また、公約では「飲食料品の消費税ゼロ」が掲げられたものの、今回の政府案では、現行の8%から1%への引き下げに留まる。引き下げられなかった1%分を、「所得に連動したきめ細やかな給付」の先行導入で補うことで「実質ゼロ」とする方針が定められている。
「消費税実質ゼロのためのこの現金給付は、2027年4月の消費減税実施のすぐ後、2027年6月以降から導入できるそうです。
それならば、そもそも“つなぎ”の措置だった消費減税は行わずに、中・低所得の勤労者向けの給付だけで『消費税実質ゼロ』を達成することもできるのではないか。国民の負担軽減が目的であって、消費減税が目的ではありません。消費減税ありきで議論を進めるのではなく、よりきめ細やかな制度設計について検討するべきではないか――。私は、そのことを申し上げたのです」(稲田氏)
明らかにされていない財源に懸念も
そして、何より避けられないのが財源の問題だ。食品消費税1%に引き下げたうえ、中・低所得の勤労者にその1%分を給付するためには、年間5兆円が必要だとされている。だが、そのための具体的な財源については明らかになっていない。
「財源確保のため、選択肢のひとつとして下げ続けてきた法人税を少しもとに戻すことも検討すべきだと私は選挙中に申し上げていましたが、こうした議論は全くなされていないのが現状です。地方財源の減収にどう対応するかも具体的な議論はありませんでした。
こうしたことも踏まえると、やはり、『つなぎ』に過ぎなかったはずの消費減税が、それありきで議論が進んでいる状況はおかしいと言わざるを得ないと思いました」(稲田氏)
ただ、飲食料品消費税1%引き下げの政府案については、8月3日の税制調査会・社会保障制度調査会合同会議で了承された。それを踏まえて稲田氏は「今後は、財源を明確にするとともに、2年後に消費税を上げるための担保についてしっかり議論を尽くす必要があります」とも述べた。
消費減税を巡っては、日本の長期金利が30年ぶりに3%の大台を突破する要因の一つになっているとの見方が、市場関係者には根強くあり、今後、財源も含めた自民党内、国会での論議が注目される。
さらに稲田氏は、再審法改正に強い反対意見を表明した“稲田の乱”の経緯や、“政治の師”安倍晋三元首相からかけられた言葉、今の自民党に蔓延する雰囲気への危惧などを明かした。その詳細が掲載された「消費減税に私が反対した理由」は月刊「文藝春秋」10月号(9月10日発売)および、「文藝春秋」の電子版「文藝春秋PLUS」に掲載されている。
