9月9日、プロ野球最多の通算3085安打を達成した張本勲さん(86)が死去した。生前の対談で張本さんは「若い世代に伝えたいこと」について、サッカー元日本代表の釜本邦茂さん(昨年8月死去)と語り合っていた。文藝春秋2015年8月号より、一部を紹介します。
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海外移籍に対する違和感
釜本 最近は、サッカーも野球も海外志向が高いですが、張本さんはどう思われますか。
張本 給料が十倍高いんだから、FAで大リーグに取られるのは仕方がない。しかしポスティングという制度は、やめたほうがいいですよ。FAは球団にお金が入らないけど、その前にポスティングで売れば球団にガッポリ入ってくる。人身売買みたいなものです。海外には行きにくくしたらいいんです。たとえばFAは今の九年を五年に短縮する。するとその選手が活躍できるかわからないから、アメリカの球団は大金を出しません。そういう提言を二十個ぐらいしたんだけど、野球界はなかなか言うことを聞いてくれないね。
釜本 サッカーの海外移籍は、エージェントが向こうへ行って「どうですか」と売り込みかけて、帰ってきて「あそこでどうや」で決まり。簡単になりすぎて、日本でちょっと名前が出てきたら、すぐ行っちゃいます。だけど欧州の一流クラブでレギュラーになれるかといったら、難しいでしょう。試合に出られないどころか、ベンチに入れない場合だってある。日本では代表かもしれませんが、フランスやドイツへ行けば、同じ程度の選手はなんぼでもおる。「石ころ拾ってパーンと放って当たったやつ、日本に連れてきたら全部レギュラーになれるぜ」と私はよく言うんです。海外に出ること自体はいいことだけど、向こうでもレギュラーを張れる実力をつけてから行ってほしい。ただベンチに座ってるのでは意味がありません。
張本 サッカーは代表監督も外国人ばかりですね。ハリルホジッチ新監督は、なかなか評判がいいみたいですが。
