女はどこまで擦り切れれば助けてもらえるのか
すべての支え、希望を失ったリンダが取った行動に、驚きはなかった。きっと私も同じ選択をするだろう。私がリンダと同じ立場だったとしたら、もう少し早い段階ですべてを諦め、滞在していた安モーテル近くの海に深く沈むことだけを求めて、ワインの瓶を何本も空にしていたかもしれない。
ローズ・バーン演じるリンダが徐々にやつれ、目が落ちくぼみ、髪が汚れていく様子はリアルだった。腹の底から大声で叫ぶシーンでは、もっと叫んでやれと応援したくなった。エイサップ・ロッキー演じる隣人が見せるさりげない優しさが、危険だとはわかっていてもリンダを慰めたことがわずかな救いだ。リンダがどれだけ家主に電話して怒り狂おうとも進まなかった穴の空いた天井の工事が、クリスチャン・スレイター演じる夫が戻って手配すると、嘘のようにあっという間に進むのも、なんという既視感だろう。
女はどこまで擦り切れれば助けてもらえるのか。誰か私に教えてほしい。
INTRODUCTION
セラピストのリンダは、激務に加え摂食障害をもつ娘の世話に追わ
れ、心身ともに疲れ果てている。夫は長期出張で不在だ。育児・家事・仕事に様々な困難が降りかかり、精神的に追いつめられていく母親を演じたローズ・バーンが絶賛され、ベルリン国際映画祭銀熊賞(主演俳優賞)、ゴールデン・グローブ賞最優秀女優賞(ミュージカル/コメディ部門)を受賞。アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされた。監督はこれが長編2作目となるメアリー・ブロンスタイン。自らの実体験を基に構想した本作は大反響を呼び、全米の賞レースを席巻した。
STORY
家事と育児、仕事に追われるリンダ(ローズ・バーン)。夫チャールズ(クリスチャン・スレイター)が長期出張で不在の中、セラピストとして働くリンダは、厄介な事情を抱える顧客たちの要求に応えようと奮闘している。最大の悩みは幼い娘が患う摂食障害だ。口が達者でわがままな娘を車に乗せて病院に連れて行き、自宅でも栄養補給用の医療機器を管理しなくてはならないリンダは、終わりの見えない〝ワンオペ〟の日々に神経をすり減らしていた。そして信じがたい悪夢のような出来事が——。
STAFF & CAST
原題:IF I HAD LEGS I’D KICK YOU/監督・脚本:メアリー・ブロンスタイン/出演:ローズ・バーン、コナン・オブライエン、エイサップ・ロッキー、ダニエル・マクドナルド、クリスチャン・スレイター/2025年/アメリカ/113分/配給:東京テアトル、シンカ/© 2025 Legs Film Rights LLC. All Rights Reserved./2026年9月18日より全国公開。
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