「被害者の女性にも申し訳なかった」――その言葉を絞り出すように語った父親が、12年後に妻を踏み殺す事件を起こすとは、誰が想像しただろうか。
2002年7月、群馬県で下校途中の女子高生が誘拐・殺害された。犯人・坂本正人は、家庭内暴力で離婚し、消費者金融に200万円の借金を抱えた当時50歳の男だった。終業式を終えた女子高生に「道を尋ねるふり」をして車に押し込むという、何の計画性もない犯行だった。
七五三の写真が映す「別の顔」
ノンフィクション作家の八木澤高明氏は事件直後、坂本が暮らしていた小さな長屋を訪れた。室内には、神社で撮られた子どもの七五三の写真が残されていた。
「写真の中の坂本はふっくらとしていて、3人は晴れやかな表情をしていた」という。その姿からは、数年後に誘拐殺人を犯す男の影はまったく見えなかった。
しかし公判で対面した坂本は、「マネキンのような白い肌をしていて、血の通っている雰囲気が無かった」。写真の人物とはまったくの別人だったと、八木澤氏は記している。
坂本には死刑判決が下り、2008年に執行された。そして事件から12年後の2014年、今度は坂本の父親が妻を踏みつけて殺すという事件を起こす。取材時に「もの静かな人物」という印象を受けただけに、八木澤氏の驚きは大きかった。
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【本編はこちら】食事を作らなかった妻に腹を立てて顔を踏みつけ…《誘拐殺人だけじゃなかった》死刑になった犯人男性の父親が起こした「もう1つの事件」——へ続く
