「いつも若いのが二人組で塩の焼き鳥を買いに来たよ。手にタバコを押し付けられた痕がついててね」――史上最悪と称される少年犯罪から約30年。
犯行に関わった4人中3人が出所後に再び凶悪犯罪で逮捕されていた現実を、著者は事件現場の街を歩きながら追った。
女子高生コンクリ殺人事件ははなぜ起きた
足立区綾瀬。かつて水田地帯だったこの地は高度経済成長期に宅地化され、ラブホテルと子ども用公園が隣り合うアンバランスな景色が生まれた。
著者が近くの居酒屋で聞いた話は、当時の環境の異質さを物語る。
「ここから50メートルも離れない場所に飯場が5件もあってね。都営住宅が出来て、仕事をまともにしない人間が多かった。子どもたちにも良くない環境だったよ」
その居酒屋の主人は、加害者とみられる少年たちの記憶も持っていた。毎回たかだか4、5本の焼き鳥を買いに来る二人組――その手にはタバコを押し付けられた痕があったという。
どこにでもいる等身大の少年の姿と、史上最悪の事件を起こした者たちの姿が、同一の人間の中に重なる。著者はその落差に「驚きとともに虚しさ」を覚えたと記している。
事件現場周辺は少しずつ風化が進み、遺体が遺棄された埋立地の周辺も今や家族連れが集まる海浜公園となっている。しかし、「事件を犯した人間たちに宿った業はそう易々と消え去ることはない」と著者は静かに結ぶ。
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