まず浮かぶのが、かつて自民党最大派閥だった旧安倍派だ。旧安倍派が伝統的に強かったポストといえば文科相。そして今回の文科相は、旧安倍派で、これまで経済産業副大臣や環境副大臣などを務めてきた関芳弘氏である。さて、どうだろう。
「まるで首相への忠誠心を試されているようだ」との声も
それよりも、関氏の起用にはもっと大事な論点がある。いわゆる「裏ガネ議員」の閣僚起用だ。今回の改造では、派閥の政治資金問題で不記載があった関氏と簗和生農水相の2人が入閣した。この人事について、高市首相は「今年の選挙も含めて2回、国民の皆様の審判を受けてきました」と説明した。
ここで、もう一人の簗氏を見てみよう。簗氏は不記載額1746万円で、党から役職停止6カ月の処分を受けた。今年2月の衆院選では、小選挙区で敗れて比例復活している。これを「国民の審判」とどう考えるか。
さらに簗氏は2021年、LGBTなど性的少数者をめぐり、「種の保存」にあらがっているという趣旨の発言をしたとされている。高市首相が顧問を務める「保守団結の会」のメンバーでもある。一方、自民党農林部会長などの農政経験もある。農政経験を買ったのか。首相との近さもあったのか。
関氏は、旧統一教会関連団体の会合への出席も明らかになっている。こうした事情があるなかで、何を評価して起用したのか。だからこそ、人事で「なぜこの人?」を見ておくのは大事だ。
高市首相は人事にあたり、自民党議員へのアンケートを自ら熟読したという。議員の希望や得意分野を直接知るという意味では面白い。一方、朝日新聞には「まるで首相への忠誠心を試されているようだ」との声もあった。派閥の人事権を弱めても、その力が首相に集まっただけなのだろうか。