選手を乗せるはずのバスが来ない。バレー会場の照明が全損する。韓国代表の試合前には、誤って北朝鮮の国歌が流れる――。9月19日に開幕した愛知・名古屋アジア競技大会(アジア大会)で、運営上のトラブルが相次いでいる。

 アジア最大級の国際スポーツ大会で、なぜこれほどの混乱が起きているのか。一因として取り沙汰されているのが、大会の競技会場の設営・運営を一括で担う仏系企業「GL events Japan(以下、GL)」の存在だ。

「週刊文春」はGL社との連携や業務について、アジア大会の組織委員会がこれまで作成してきた複数の資料を入手。そこには、大会準備の早い段階から生じていた、大幅な遅れや混乱が克明に記されていた。

ADVERTISEMENT

開会式で入場行進する日本選手団 ©︎時事通信社

 GLは、フランス・リヨンに本社を置き、世界20カ国以上でイベントの企画・設営・運営を手掛けるGL eventsグループの日本法人。大阪・関西万博では複数のパビリオンの施工や運営を受注したが、工事代金の未払いを訴える下請け業者が相次ぎ、訴訟に発展している企業だ。

「その企業にこれほど大規模な会場の設営・運営を一任することへの懸念は、以前から県議会などで指摘されてきたのですが……」(地元紙記者)

スコーピングの段階から長期の遅れが

 GLがアジア大会の大会組織委と競技会場の設営・運営業務について随意契約を結んだのは、2025年4月のことだった。

「契約額は630億円と多額です。しかし、県は一括委託によって『個別発注なら約700億円かかるところをかなり低く抑えられた』と説明してきました」(前出・記者)

 だが、契約後の準備は思うように進まなかったという。大会関係者が明かす。

「GLが請け負ったのは『会場の設営と運営』。まず仕様や金額を詰める『スコーピング』という作業があり、本来なら2025年6月末までに終える予定だった。ところが、このスコーピングの段階から長期の遅れが発生していたのです」

 それを裏付けるのが、組織委の中で各競技場などの現場への報告に用いられていた内部資料の数々だ。たとえば、スコーピングが終わる予定だった6月末。会場の設営等を担当する会場企画課は、以下のように組織委内で報告している。