「長年にわたり、トランプ政権の多くの関係者たちと協力する幸運に恵まれてきた」

 英ガーディアン紙にこう語ったのは、今年5月にドーピングを推奨する国際スポーツ大会「エンハンスト・ゲームズ」を米ラスベガスで主催した実業家のアーロン・デスーザ氏である。物議をかもした異例の大会だったものの、「米国のもっとも重要な人物たちがエンハンスト・ゲームズを支持してくれるという事実が、いかなる投資よりも重要」と開催地の“お墨付き”を得ていることを強調した。

 トランプ大統領の長男ドナルド・ジュニア氏は大会の大口投資家であり、主催者側企業のウェブサイトに「世界のスポーツ界を牛耳るエリートたちは、100年以上にわたり革新を阻み、個人の偉業を打ち砕き、アスリートが可能性の限界に挑戦することを拒んできた」と国際オリンピック委員会(IOC)を意識した挑発的コメントを寄せた。そしてエンハンスト・ゲームズについて「真の競争、真の自由、そして真の記録の更新。まさにMAGA運動の真髄」と述べている。

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IOCと価値観相反

 トランプ氏が目を向けた先では必ず混乱が起きる。そして今注目されるのは、2028年のロサンゼルス五輪がどのような影響を受けるかである。米国を主会場として今年開催されたサッカーワールドカップ(W杯)での騒動が記憶に新しい。

FIFAのインファティノ会長とともにW杯決勝を観戦したトランプ大統領 ©時事通信社

 W杯ではソマリア人審判員の入国拒否や、イラン代表の滞在規制など、大会を利用した米国の“敵国”への妨害が次々と起こった。そしてトランプ氏から国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長への働きかけで米国選手の出場停止処分が猶予されるに及んで、各国の不満が爆発した。

 インファティノ会長は2025年に「FIFA平和賞」を創設して第1回受賞者にトランプ氏を選ぶなどトランプ氏のシンパとして知られる。米国の介入を許した会長に対し、大会後に一部の国から退任要求が出ている。