2008年、京都府舞鶴市の河原で発見された女子高生の遺体は、凶器で殴られ頭蓋骨が飛び出し、鼻は陥没するという凄惨な状態だった。捜査線上に浮かんだのは、過去に内縁の妻とその兄を殺害した"いわく付きの男"。しかし、この事件は思わぬ結末を迎えることになる。ノンフィクション作家・八木澤高明氏の文庫新刊『殺め家』(鉄人社)より、その経緯を紹介する。

証拠隠滅を図った男が、なぜ無罪に?

 遺体が発見されたのは2008年5月8日午前8時45分。現場となった朝来川の河原から400メートルほどの場所に暮らしていた中勝美という男が、すぐに重要参考人として浮上した。防犯カメラには、殺害された女子高生と連れ立って歩く黒い服の男の姿が映っており、当時事件を取材した全国紙の記者はこう語る。

「舞鶴では、2001年にも女子高生が首を刺されて殺害される事件が起きているのですが、その件でも中は警察にマークされていました」

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 中勝美は警察にマークされたことを知ると、黒い服を処分し、自転車の色を塗り替え、さらには賽銭泥棒に使っていたバールまで棄てるなど、証拠隠滅を図っている。事件から約1年後の2009年4月7日、殺人容疑で逮捕された。

写真はイメージ ©getty

 しかし裁判では直接証拠が存在せず、防犯カメラの映像と目撃証言が争点となった。一審で無期懲役が言い渡されたものの、最終的には最高裁で逆転無罪が確定するという、異例の結末を迎えることになる。

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