頭蓋骨の一部とまぶたの全部が欠損するなど、世界でも前例のない障害を持って生まれた息子・未来くんの日常をYouTubeで発信する星野しほさん、孝輔さん夫妻。未来くんの異変に初めて気付いたのは妊娠22週目のことで、その後も「目が離れているかもしれない」「耳がないかもしれない」と診断が重なっていったという。

 妊娠中のエピソードや、出産当日のことを聞いた。

妊娠時のエコー写真(写真提供=星野さん夫婦)

産声は聞こえず、顔は紫だった赤ちゃん

 妊娠中のしほさんを苦しめたのは、急激に大きくなっていくお腹だった。未来くんには嚥下障害があり、お腹の中で羊水を飲めなかった。そのため、羊水が子宮内にたまり続ける羊水過多症になっていたのだ。「大きいねえ」「双子ですか?」と聞かれることもしょっちゅう。食事のたびに吐き気もあった。

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 短期入院して羊水を抜くと、「スキップしたくなるぐらい」楽になったという。抜いた量は3リットル。通常は1リットル弱とされ、いつ破水して陣痛が来てもおかしくない状況だったと振り返る。

 妊娠中の検査では、気道が狭いか、完全に塞がっている、あるいは存在しない可能性まで指摘されたという。出産と同時に大手術となるリスクもあり、対応できる病院は限られた。

 出産は計画出産にて、帝王切開。しほさんの手術室と赤ちゃんの気管切開用の手術室、それぞれの担当医のスケジュールがそろう日が出産日となった。出産自体は10分ほどで終わったものの、産声は聞こえず、呼吸がうまくできないため生まれたばかりの未来くんの肌は紫がかっていた。まぶたもなく、しほさんは「新生児なのに目がぱっちり開いている」と感じたという。

生後1カ月のころ、お昼寝中の未来くん。このときはまだまぶたの形成手術前で、眼球が乾かないようにラップを貼ってケアしていた(写真提供=星野さん夫婦)

 医師は赤ちゃんを見て「なるほど」と言った

 しほさんが特に印象に残っているのが、赤ちゃんを取り上げた医師が、未来くんの顔を見て「なるほど」と言ったことだ。出産前のエコーでは目の状態がはっきりしておらず、その「なるほど」は、「ああ、まぶたがなかったのか」という意味だったとしほさんは受け取っている。

最終的には、夫婦で納得した上でYouTubeを始めることに ©杉山秀樹/文藝春秋

 未来くんはまぶたが全欠損、頭蓋骨の一部欠損。さらに小顎症や小耳症、嚥下障害といった症状を抱える。前例がないとされる障害だが、遺伝子検査や染色体検査で異常はなく、当てはまる病名もないため、今後の発達は分からないままだという。ただ、最近では少しずつ嚥下の練習をしており、3歳半の現在は立って歩いたり、おもちゃで遊んだりと元気な姿を見せている。

 続く記事では、出産直後に未来くんの顔を見られなかったというしほさんの葛藤や、生後100日で受けた「まぶたを形成する手術」、さらには周囲の視線に対する思いなどを聞いている。

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