「あの人、整形しているんだって」と噂話になるのも今や昔。美容医療は格段に進化しドラマの題材になるほど身近なものに。一方でトラブルも絶えず深刻な後遺症に悩む人も。美しい自分になる前に読む連載、スタート!
「たぶん今、東京中のクリニックが焦りまくっていると思う。最高級のボトを買い占めてしまったから。みなさんの気が済むまで何回でも提供させてもらいます」
9月から配信がスタートしたネットフリックスドラマ『ダウンタイム』。第1話の場面、美容クリニック主催のパーティーでカリスマ院長がそう豪語し、シャンパンタワーが姿を現す。
シャンパングラスに入る液体は「ボト」ことボトックス。顔のシワ改善の治療に使われる医薬品だ。医師や看護師が注射器でボトックスを吸い上げたのち、クリニックのVIP客たちの足首やおでこにボトックス注射を行っていく。そして豊胸手術を受けて間もないインフルエンサーの女性の胸に注射。彼女はその場で意識を混濁させ病院へ緊急搬送されたのだった――。
同作は美容整形の光と闇を描き、話題を呼んでいる。それは視聴者の美容医療への関心の高さの表れともいえるだろう。実際、厚生労働省「美容医療に関する現状について」(2024年)によれば、「美容医療の施術数」は20年が47.3万回に対して、22年は373.2万回と、わずか2年で約8倍に急増した。
空前のブームとなっている陰で、美容医療のトラブルも後を絶たない。国民生活センターによれば、美容医療に関する相談件数は、24年度には過去最多の1万件を超え、10年で5倍に増えた。
「毎週、豊胸手術やシワ・たるみ取りなどの美容治療の後遺症に悩む方が大勢、外来に来られています」
そう語るのは、美容後遺症診療医の朝日林太郎医師(日本医科大美容外科・美容後遺症外来)だ。同医師は複数の医療機関で、美容医療の術後トラブルや後遺症に苦しむ患者に対し、修正手術などを行っている。
「大前提として、以前と比べて美容整形の技術や安全性は格段にレベルが上がっています。とはいえ、100%安全な施術はありません。施術の件数が増えた分、トータルで見るとトラブルの数も増加しているとみています。ただ、無資格者による施術や美容クリニックでの不適切な治療が行われているのも事実です」(同前)
