〈あらすじ〉

 自然豊かな田舎町「ナギ」。そこで生まれ育った彫刻家の寄子(松たか子)は、生家で創作活動に励みながら酪農の仕事をしたり、絵を教えたりして、ひとりで暮らしている。そこへ弟の元妻で建築家の友梨(石橋静河)が東京から訪ねてくる。寄子に頼まれ、クスノキで作る木彫像のモデルをつとめにきたのだ。二人はさっそく、寄子のアトリエで作業に取り掛かる。

 そんな姿を見た中学生の圭太(藤原聖)は、二人は恋人同士なのかと尋ねる。一方、圭太の親友で、役場に勤める好浩(松山ケンイチ)の息子・春樹(川口和空)は、妻を亡くした父と幼馴染の寄子が結婚すればいいと思っている、と友梨に打ち明ける。そして寄子もまた、秘めていた思い出を友梨に語り出す。

 数日のはずだったナギの町での滞在は長くなっていき、友梨の心にも次第に変化が起きていく。

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〈見どころ〉

 木彫像が作られていく過程と、彫刻家になりきった松の手さばき。またロケ地・岡山県勝田郡奈義町の風土や現代美術館なども目を楽しませる。

田舎で暮らす彫刻家の秘密は……
静かに描かれる唯一無二の人間ドラマ

繊細な人物描写など世界的な評価を受けている深田晃司監督の最新作。平田オリザの代表作で第39回岸田國士戯曲賞を受賞した『東京ノート』から着想を得て、セクシャルマイノリティの彫刻家を主人公に、9年の歳月をかけて完成させた。第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され絶賛された。

©2026 ナギダイアリー・パートナーズ(スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック)/ Survivance / Momo Film Co. 配給:スターサンズ
  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆離婚や駆落ちといった俗っぽい素材を覗かせつつ、メロドラマの斜面には滑り落ちることなく、クールな距離感と落ち着いた視線を保持しつづける。先達エリック・ロメールから獲得したと見受けられる作法が板についている。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★★自分のことを描いたのかと思うほど、当事者ならば血まみれの想いが蘇る。「東京にでれば」という甘い期待にも悪魔は大勢いるよと言い返したくなった。いっぱいの愛が静かに詰まって、かつての痛みに口づけをされたよう。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★★理解しきれない他者と、それでも隣にいること。彫刻のごとく人間の機微を丁寧に削り出し、孤独と孤立のあわいに温かな光を灯す。遠い戦争と小さな日常を同じ空気に響かせながら、深田晃司の映画はかつてなく優しい場所へ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆風景、人々、時間、そこに登場するもの全てがまるで寄子の作品そのもの、静謐なナギそのもののように感じられる。人との相互理解を繊細に扱った演出力。台湾の音楽がスッと浸透する心地よい映画体験を是非劇場で。

  • ゲスト評者
    片岡一郎(活動写真弁士)

    ★★★☆☆日常の中に確固として存在する無色透明な壁の存在を見事に描き出している。ことに終盤における、壁から出てゆく者と戻る者の対比は鮮烈だ。原典となった舞台劇からくるであろう箱庭感がもう少し薄くても良いように思えた。

    かたおかいちろう/1977年生まれ。2002年に澤登翠に入門、同年デビュー。日本を代表する活動写真弁士として国内のみならず国際的に活動中。映画『カツベン!』の実演指導や『ゆきてかへらぬ』などに弁士役で出演も。著書に『活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと』がある。

  • 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
  • おすすめできます♪★★★★☆
  • 見て損はない。★★★☆☆
  • 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
  • うーん……。★☆☆☆☆
友梨は、元夫と台湾で暮らしていたことがあるという。ほかにも「台湾」がキーワードとして登場。エンディングテーマも台湾のシンガーソングライター、イーノ・チェンが歌っている。
©2026 ナギダイアリー・パートナーズ(スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック)/ Survivance / Momo Film Co. 配給:スターサンズ
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『ナギダイアリー』
公開中
監督・脚本:深田晃司(『恋愛裁判』『淵に立つ』)
2026年/日本、フランス、シンガポール、フィリピン/英題:Nagi Notes/110分
https://starsands.com/nagidiary/