〈あらすじ〉

 1990年代後半の夏。8歳の少女サーシャ(エイリュル・ギュヴェン)は、ハンガリー系移民の家族とともにカナダ・バンクーバー島へと移り住む。サーシャと兄たちは、豊かな自然に囲まれた土地で新しい友人を作り、次第に自分の居場所を見つけていくが、一番上の兄ジェレミー(エディク・べドーズ)だけは違っていた。時に優しく時に突飛で気まぐれで、あるいはひどく反抗的な態度をとる彼に、両親もきょうだいたちも戸惑うばかり。そんな“問題行動”は次第にエスカレートしていき、母(イリンゴー・レーティ)は専門家との相談の結果、ある決心を迫られる。

 20年後、映画監督になったサーシャ(エイミー・ジマー)は、カメラを携え再びジェレミーの問題に向き合おうとしていた。あの時、自分たちに何が出来たのか。そして、兄は何を思っていたのか――。

〈見どころ〉

 バンクーバー島の豊かな自然。90年代の空気感を再現するための様々なディテール。ともに、誰もが懐かしい記憶を刺激される装置となっている。

あの日の兄の記憶をたどる旅――
ハンガリー系カナダ人の新鋭監督による長編デビュー作。監督の個人的な経験をもとにしながら、誰もがかかえる“理解したいのに理解しきれない大切な人”の存在をめぐる物語を描く。昨年のトロント国際映画祭で最優秀カナダ映画新人賞を受賞したほか、世界中の批評家や観客から支持されている傑作。

©2025 NINE BEHIND PRODUCTIONS LTD. BODDAH RIOTFILM KFT. 配給:プンクテ
  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆心が解き明かせない複雑な記憶の中核を、映画が解き明かすことがある。キャメラの映し出す世界は、バイアスのかかる人の心を超えて思いがけない急所に到達する。記憶を蒸留しつつ、この映画はそんな秘法を探り当てている。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆映画の構成が切なさを倍増させる。記憶を都合よく改ざんして家族への辛い想いは有耶無耶にしたいのではと思うが、綴られる物語が反芻されるうちに両親と兄との気づかなかった光景が露わに。家族という不自由さのドラマか。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆記録と記憶、現在と過去が繊細に折り重なる。かつて見えなかった家族像をたどり、理解しきれない他者と向き合う眼差しの尊さが胸を打つ。ホームビデオ風の質感の奥には緻密な設計が息づき、美意識の高さもさりげなく光る。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆深く蒼い濡れたバンクーバー島を舞台に家族の力学を独創的に描く非常にパーソナルな作品。バンクーバーの劇場で観たが登場人物が抱えている問題が島の背景と相まって他者に直ぐ勧めたほど。心に陰翳を残す期待の新鋭現る。

  • ゲスト評者
    片岡一郎(活動写真弁士)

    ★★★★☆終盤における夫婦の断絶を暗示するかのようなショットは、生きづらさ、とは本人だけにとどまる問題ではないことまでも描写していて素晴らしい。私自身、世間とのギャップに苦悩した時期もあり、自分の物語のように感じられた。

    かたおかいちろう/1977年生まれ。2002年に澤登翠に入門、同年デビュー。日本を代表する活動写真弁士として国内のみならず国際的に活動中。映画『カツベン!』の実演指導や『ゆきてかへらぬ』などに弁士役で出演も。著書に『活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと』がある。

  • 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
  • おすすめできます♪★★★★☆
  • 見て損はない。★★★☆☆
  • 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
  • うーん……。★☆☆☆☆
これまでにも家族の記憶、喪失、写真や映像による記憶の再生といったテーマで短編を作ってきたロムヴァリ監督が、その集大成として取り組んだ半自伝的作品。ちなみに「Blue Heron」とは鳥のアオサギのこと。
©2025 NINE BEHIND PRODUCTIONS LTD. BODDAH RIOTFILM KFT. 配給:プンクテ
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『Blue Heron/ブルーヘロン』
公開中
監督・脚本:ソフィー・ロムヴァリ
2025年/カナダ・ハンガリー/原題:Blue Heron/91分
https://www.punkte00.com/blueheron/