華やかな専業主婦とアラフィフのフリーライター。生活背景の違いを超え、家族ぐるみで交流を続けた二人は、冷淡なLINEのやりとりを機に突如として関係を断った。新書『友達になって後悔してる』(新潮社)の著者・山野井春絵さんが、執筆のきっかけとなった「友人との別れ」を振り返る。

別れのLINE

 いつからか、彼女からのLINEの返信は遅れがちになった。返事の早い人だったが、数日の既読スルーは当たり前、なかなか既読にならないことも増えた。

写真はイメージ ©getty

 数日前、山野井さんは思いつめて、なるべく重くならないよう冗談を交えつつ推敲したメッセージを送っていた。「何か私はあなたの気に障ることをしてしまったのでしょうか」。元通りに仲良く付き合いたい、日時はあなたに合わせる、という内容だった。

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 ようやく届いた返事は、あっさりしたものだった。山野井さんが送った内容にはまったく触れず、世間話が少しと、絵文字。

 行間からは、「あなたと会うつもりはない」という明確な意思が感じられた。ある夏の午後、最寄り駅のホームでのことである。山野井さんは電車を一本やり過ごし、彼女とのやりとりのすべてを削除した。

10年以上付き合った「仲良しのママ」だったのに

 相手は10年以上付き合った年下のママ友だった。美しく優しく、おっとりとして品があり、ハリー・ウィンストンで買い物するような、経済的にたいへん恵まれた専業主婦である。しがないライター稼業でカジュアルな山野井さんとは、見た目も年齢もライフスタイルもほとんど重ならず、周囲から「なぜ仲が良いの?」と不思議がられたという。

 それでも、二人とも飲兵衛で、地縁もあって気を許し合う仲になった。子どもと夫同士も気が合い、家族ぐるみの付き合いが続いた。

 関係の終焉は、子どもたちが小学校高学年になったころ。何が原因だったのかは、いまだにわからない。思い当たる節はいくつかあるが、「イヤだな」という感覚が彼女の中で塵のように積み重なり、「この人との付き合いは不要」という結論に達したのだと推察する。

 最後のLINEの後は音信不通になり、インスタグラムのアカウントも削除された。新しく開設された鍵つきのアカウントは、共通の友達の中で山野井さんにだけ知らされなかった。

「返事がないこと、それこそが返事。これが大人の関係における終焉の特徴だ」と山野井さんは振り返る。しかも、彼女が離れていった感情のプロセスはよく理解できるという。山野井さん自身、同じように誰かとの関係を自分から終わらせたことがあるからだ。

 50代に入ってから、潮が引くように離れていった友人は5、6人にのぼる。やがて共通の友達はもちろん、別のコミュニティの友達までもが芋づる式に離れていった。

 いつしか被害妄想に取り憑かれ、ついには残った友人にまで「いい加減にして、あんた病気だよ」と笑われるほどだったという。

(つづく)

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