着々と重ねてこられた“終活”の準備

 在位中から、着々と“終活”の準備を重ねてこられた上皇ご夫妻。その動きは、19年4月末の退位後に加速している。まずは、新たなお住まいとなった仙洞御所(赤坂御用地内)のバリアフリー化だった。

「仙洞御所は、上皇陛下がかつて皇太子だった頃に暮らしておられた場所。転居に際し、20年度の概算要求では、仙洞御所の改修費として7億1000万円が計上されました。スロープや手すり、エレベーター1基が設置されたほか、浴室の段差をなくす工事なども行われています」(同前)

現在のお住まいの仙洞御所

 ハゼの専門家としても知られる上皇。皇居内の生物学研究所で研究されるほか、仙洞御所にもハゼの水槽や専用の部屋が設けられ、国立科学博物館が主催する「魚類分類研究会」の会合にオンラインで参加されることもあるという。21年に会合にゲストとして呼ばれ、自身の研究を発表した香川大学特命准教授の滝川祐子氏が振り返る。

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「上皇陛下は、生物学研究所の皆さんとテーブルを囲み、リラックスされているようでした。私は、鎖国政策下の長崎を訪れたドイツ人博物学者が、幕府に監視されながら、食料として入手した魚類を標本にして持ち帰ったことなどについて発表しました。上皇さまから、後に新種と記載された日本産魚類について『面白いですね』とお声かけがあり、『歴史背景をよく調べられましたね』と労って頂きました」

2026年10月20日、美智子さま92歳のお誕生日に際して公開された上皇ご夫妻のお写真 宮内庁提供

ウクライナ語に翻訳された美智子さまの絵本

 美智子さまのご活動はどうか。今年5月31日には、美智子さまが文を手掛けられた絵本『はじめてのやまのぼり』(至光社)など5作品がウクライナ語に翻訳され、現地の学校や小児病院に寄贈する式典が開催された。至光社の武市晴樹社長が明かす。

「この絵本は美智子さまの優しい眼差しが感じられ、戦禍で傷つく子どもたちの背中を押すような温かな内容です。かつて、ポルトガル語版を出した際には、御所で美智子さまと一緒に2、3時間ほど校正作業をしました。日本語で綴られた表現の背景を踏まえ、用意された英訳テキストとも照らしながら、丁寧に校正に臨んでおられた。今回は直接お目にかかれませんでしたが、上皇職の方から『美智子さまもこの度の出版を喜んでいます』旨のご連絡を頂きました」

 ただ、ここ数年、上皇ご夫妻の体調には次々と異変が生じていた。(つづく)

次の記事に続く 「約4.2億円の相続税を…」上皇ご夫妻も避けては通れない“相続問題”と、皇室の在り方への「ご懸念」

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