「立ち止まらずにお願いします」

 10月31日19時ごろ。渋谷のスクランブル交差点周辺には、警備員の声が絶え間なく響いていた。

 ハロウィーン当日が土曜日と重なるのは、コロナ禍のさなかだった2020年以来、6年ぶり。渋谷区は「GOODBYE BAD HALLOWEEN」を合言葉に、今年も厳戒態勢を敷いた。ハチ公像は仮囲いに覆われて姿が見えず、31日夜は警備員約125人を配置。周辺62店舗には酒類の販売自粛を要請した。

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©文藝春秋

 2018年の軽トラ横転事件、2023年の「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」宣言――。仮装した若者が路上に集い、見知らぬ者同士で写真を撮り合う“渋谷流”のハロウィーンは、年を追うごとに規制の網に挟まれてきた。本気で仮装を楽しみたい人の受け皿は、主催者のいる池袋のコスプレフェスへと移りつつある。

 それでも渋谷の路上を選んだのは、どんな人たちなのか。

常連が漏らした「昔とは違う」

 白いおばけの仮装で子どもと写真に収まる男性、「楽しみは写真を撮られること」と語る10年来の常連……。路上には今年も、さまざまな仮装の人たちが行き交っていた。

 だが、7、8年前から通う“ベテラン”の目には、別の景色が映っていた。パフォーマンス集団「電撃ネットワーク」のランディー・ヲ様さんは、こう漏らす。

「電撃ネットワーク」のランディー・ヲ様さん ©文藝春秋

「今日は土曜日だけど、こんなに歩けると思わなかった」

 変わったのは、人の数だけではないという。かつての渋谷ハロウィーンにあって、いま失われつつあるものとは――。

参加者から区長へのメッセージ「来て、ごめんね」

 一方、真っ直ぐな下心で渋谷に足を運んだ男性もいた。

「彼女いないんで、クリスマスまでに彼女を作るために来ました」

下心をあけすけに語った男性と同グループの青年 ©文藝春秋

 ついさっき外国人の女の子といい雰囲気になったものの、最後は笑って逃げられたという彼。その顛末をあけすけに語り、「今日は酒飲んで、ぶっ飛ぼうかな」と意気込む。だが駅周辺では、18時から翌5時までの路上飲酒は通年禁止で、この夜は酒の販売も自粛中だ。区が年々規制を強めていることを伝えると、「関係ない」と言い切り、区長にこんなメッセージを残した。

「来て、ごめんね」

 交番の前でひときわ目立っていた女性は、ナンパについて聞くと意外な答えを即答した。6年ぶりの“土曜ハロウィーン”、規制の夜の渋谷で聞いた本音とは。

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