2025年 大雨と“ゆるやかな交流”
2025年は金曜日がハロウィーン当日と重なった。区はハチ公像を完全封鎖し、LUUPの駅周辺21カ所のポートも止めた。一方で、長谷部区長が掲げたテーマは「禁止だよ!迷惑ハロウィーン」。「会場ではありません」と突き放した2023年に比べ、呼びかけには融和の色がにじんだ。
当日は雷を伴う大雨の予報。だが渋谷には、それぞれの理由で仮装した人たちが現れた。ファミリーマートが販売した「ファミチキ」の着ぐるみ姿で駅前に立ったゴリさん(40代)は、「たまたま嫁が倅と一緒に実家に帰っているので」と参加の理由を明かした。
「迷惑行為をする人もいるので、渋谷のハロウィーンに文句を言いたい人がいるのもよくわかります。ただ、良識を守ってこの街をよくしようと考えている自分としては、『ハッピーハロウィーンにしたい』の一言ですね」
この年に目立ったのは、コスプレイヤー同士の交流だった。写真を撮り合い、お菓子を配り、雑談を交わす。交番の隣で開かれた即席の撮影会も、特に注意は受けなかった。普段着で輪に入れずにいた男性2人組も、意を決して声をかけに行った。
「でも、そんなこと言ってたら出会えません! 行くぞ!」
ハイレグ網タイツ姿の営業コンサルタントの女性は、こう振り返った。
「一度問題になった年があったから、渋谷のハロウィーンが好き嫌い分かれるのはしょうがない。でも、逆にそこから人が減ってきているのは『いいかな』って」
区によると、この年のセンター街周辺のピーク時の滞留人数は、雨の影響もあり約4500人。2024年の約2万人から大きく減った。
そして2026年へ……
5年間を並べてみると、渋谷のハロウィーンの変化がよく見える。
2021年は「おっぱいの邪魔をするな!」と怒号が飛ぶほどの“密”状態だった。2023年には「渋谷キモいからトー横集合で!」と人が流れ、2024年には「オワコン」とまで言われた。2025年、雨の路上で交わされていたのは、コスプレイヤー同士のゆるやかな交流だった。
区のメッセージも「来ないでほしい」から「迷惑はやめて」へと変わってきた。本気で仮装を楽しむ人は主催者のいる池袋へ、騒ぎたい人は新宿へ。規制は人を減らしただけでなく、ハロウィーン参加者を街ごとにすみ分けさせた。
では、それでも渋谷の路上に残る人たちは、何を求めているのか。6年ぶりの“土曜ハロウィーン”となった2026年の渋谷を、取材班は歩いた。
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