新聞業界は斜陽化して久しい。報道機関は、オールドメディアと揶揄される。そこで、最近は“個人主義”も目立つ。SNSなどでは、記者たちが個人として発信することが流行している。時に応援の声が集まることもあれば、時に“炎上”することもある。
熱意あるスター記者たちひとりひとりの取材力は、日本のジャーナリズムにとって重要なものだ。他方で、報道機関の強みは、組織力でもある。個人では容易に得られない情報を集め、検証する。情報があふれる今こそ、組織取材は大新聞にしかできない仕事だ。
記者たちは今、その深刻なジレンマの中にいるのだろう。
その意味で、簗和生・前農林水産相の更迭をめぐる朝日新聞の記事は、組織ジャーナリズムと個人の取材をかみ合わせようとする狙いを感じるものだった。
朝日新聞が10月15日から17日にかけて「上・中・下」で掲載した「簗農水相更迭」との連載記事だ。
まず15日の朝刊2面に掲載された連載「上」。高市早苗首相の更迭判断が遅れたこと、自民党内で「高市一強」のため首相への批判が出にくくなっていること、少数与党である参院で影響が出そうなことなどを伝えていた。
いかにも政治部らしい視点で、組織取材の常道といった風情だ。ただし「上」の段階では、政局の話が続くばかりという点で、どこか味気なさも感じた。
そこから深めたのが、連載2回目の16日朝刊「中」だった。「カット発言 国交省は『焼け野原』」「配分検討記録開示せず 残る疑念」と題されたものだ。
この記事が他と違った理由の一つは、簗氏の問題を、永田町の政局だけで捉えず、自民党と道路行政の長い歴史に焦点を当てていたことだ。
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この続きでは、新聞社の組織取材と、記者個人の取材とをどう組み合わせるべきなのか、分析している。「週刊文春 電子版」で配信している。


