トランプ大統領にどんな影響が?

 中間選挙のことがしばしばニュースになるので、結果次第でトランプ大統領が辞めることもあるのかと思う人がいるかもしれませんが、そういうことはありそうもないのです。

 今回の選挙はあくまで議会選挙ですから、議会から独立している大統領が辞める必要はないのです。

 でも議会が弾劾、つまり大統領を辞めさせることができるのではないかと考える人がいるかもしれませんが、これも難しいのです。というのも、下院議員の過半数が弾劾に賛成すれば、上院が大統領を辞めさせるか審議に入りますが、弾劾が成立するには出席議員の3分の2の賛成が必要です。いまのように与野党伯仲の状態では議員の3分の2が賛成することはまず無理なのです。

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 では、中間選挙の結果がどうなろうと関係ないではないかと思うと、実はそうでもないのです。

 トランプ大統領は何を焦っているのか。まずは国家予算です。アメリカでは国の予算は議会が作ります。このためトランプ大統領が、「こんなことをしたい」という希望を持っていても、議会がトランプ大統領の言うことを聞かなければ予算がつかず、やりたいことができなくなるのです。つまりトランプ大統領の手足を縛ることができるのです。

 また、野党の民主党は、下院で過半数を獲得したら「トランプ政権の腐敗」を追及する委員会を設置する方針です。議会の委員会は強い力を持ち、トランプ大統領の親族に不正がないか、トランプ大統領が大統領権限を使って親族をもうけさせるという不正が行われていないかを独自に調べることができるのです。

 委員会審議はテレビ中継されますから、トランプ大統領の金銭スキャンダルなどが大々的に報道されるでしょう。これでは大統領としての権威が失墜してしまいます。トランプ大統領は、嫌でしょうね。

 次に上院。ここは、トランプ政権の人事を承認したり拒否したりすることができます。たとえばトランプ政権の長官の誰かを新たに任命しようと考えると、その人事を認めるかどうか上院で審査します。

 いまは上院でトランプ大統領の与党の共和党が多数を占めているので、大統領にブレーキをかけることはありません。その結果、トランプ大統領はやりたい放題なのですが、上院で民主党が多数を占めると、トランプ大統領が指名した候補が認められなくなりますので、政権は混乱するでしょう。

 また、もし最高裁判所の裁判官が空席になった場合、トランプ大統領が望む候補は承認されないでしょう。これはトランプ政権にとって打撃です。つまり、中間選挙で共和党が負けてもトランプ大統領を辞めさせられるわけではありませんが、大統領は自由奔放に振舞うことがむずかしくなるのです。さて結果はいかに。

「週刊文春 電子版」では池上彰氏による中間選挙の現地取材リポートを連載で配信している。

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