数学教師から金融界に進出し、巨万の富を手にしたジェフリー・エプスタインが、各地で少女や若い女性をレイプし続けた史上最悪の性犯罪「エプスタイン事件」。この事件が世界的な注目を集めた大きな理由のひとつが、アメリカのドナルド・トランプ大統領が、事件に関わっていたかどうかだった。
事件の捜査資料「エプスタイン・ファイル」の公開を求める声は、正反対の勢力から上がっている。トランプとの対決姿勢を鮮明にする民主党などリベラル勢力と、トランプの熱烈な支持層であるMAGA(Make America Great Again:「アメリカを再び偉大に」というトランプの大統領選のキャッチフレーズが由来)である。
とりわけ、MAGAは「トランプは小児性愛事件に関わっていない」「ファイルにはリベラル勢力の大物が含まれており、それを公開すればアメリカを陰で操る闇の組織・ディープステートを一掃できる」と考え、政権を突き上げたが、公開を渋るトランプに失望を募らせることになった。
中間選挙を控えながら事件対応でもMAGAの離反が相次ぐアメリカの現状について、堂本かおる『エプスタイン事件 世紀の暗黒スキャンダルの全貌』より、一部を抜粋して紹介する。
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突然解雇された「最高視聴率男」
タッカー・カールソンは極右的見解と陰謀論をまくしたてる、フォックスニュースで最も人気のあるキャスターだったが、2023年4月に事実上、突然の解雇をされている。
以後も、フリーランサーとしてポッドキャスト『タッカー・カールソン・ショー』を活動の場にし、フォックス時代と同様にトランプ大統領に政治アドバイスをする仲だった。
トランプとカールソンには、浅からぬ縁がある。カールソンがフォックスニュースを解雇された2023年、フォックスは選挙の投票・集計システムを提供するドミニオン・ヴォーティング・システムズ社より訴えられていた。
2020年大統領選においてトランプがバイデンに敗退したのはドミニオン社の集計システムが不正操作されたためだと、カールソンを含む5人のフォックスニュースのキャスター、およびゲスト・コメンテーターが主張し続けたことが理由だ。
この件はフォックスがドミニオン社に7億8750万ドルを支払うことで和解したが、その直後、フォックスはカールソンを電撃解雇した。
カールソンの番組『タッカー・カールソン・トゥナイト』は、2020年大統領選の直前にはフォックスのみならず、CNNを含む全ケーブルニュース局の番組の中で最高の視聴率を得ていただけに、当時、解雇は視聴者だけでなく他のメディアをも驚かせたが、フォックスは理由を公表しなかった。
