「バーン! バン!」

 ハロウィーン当日の夕暮れ。パリのシャラントン門付近では、黒ずくめの警官たちが厳重警備を敷いていた。突然、激しい爆発音が鳴り響く。次の瞬間、火炎瓶が投げ込まれ、警官の一人が業火に包まれる。怒号が響き渡り、そして……。

水漏れやネズミが発生している学校も

 フランス全土に広がるデモが収束の兆しを見せない。現地在住のジャーナリスト、広岡裕児氏が解説する。

「元々は9月中旬、高校生たちによる劣悪な教育環境への抗議活動から始まりました。フランスでは特に2000年代以降、公立学校の質の低さが深刻化してきた。教員の給料は抑えられ、数も全く足りていません。校舎の老朽化は目立ち、トイレが壊れたり、水漏れやネズミが発生している学校も少なくない。今年は異常な猛暑で、多くの学生が冷房なしで授業を受け、休校にもなった。彼らのストレスはピークに達していました」

フランス全土で大勢の学生たちが声を上げた ©時事通信社

 怒りに拍車をかけたのが、マクロン政権が18年に導入した大学への共通出願システム「パルクールシュップ」だ。これまでは大学入試資格試験「バカロレア」に合格すれば、志望校に入学することができた。ところがこの制度が導入されて以降、内申点や課外活動などの“実績”までが選考理由に組み込まれ、学生の負担が大きくなった。

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「同じ公立高校でも、富裕層の多い地域は教育制度や入試支援が整っています。他方、貧困地域では教員不足もあり、そもそも授業が成り立たないような学校が増えている。平等であるはずの教育が格差を再生産していると、学生の怒りが爆発したのです」(同前)

 こうした学生たちに感化され、失業率の高さや貧富の格差に不満を抱える人々も、街へ繰り出した。

「代表的なのが、18年に起きた『黄色いベスト』の参加者です。生活コストの上昇などに抗議する大規模なデモ運動で、黄色いベストの着用からこの名がついた。運動は一旦鎮まったものの、再び活発化してきているのです」(同前)