〈子供の時からの習慣で、新しいコメディアンが出ると、必ず観に行った。自分の目で確認しない限り、納得できなかった〉

 小林信彦さんは2021年まで1117回続いた「週刊文春」の連載コラム「本音を申せば」で、そう振り返っている。

 10月19日、多臓器不全のため93歳で亡くなった小林さんは、確かな鑑賞眼と博識で、喜劇人、映画など数々の批評を残した。親交のあった萩本欽一さんも、その材とした一人だ。

大きな“図書館”がなくなっちゃった気分

 なんか、大きな“図書館”がなくなっちゃった気分。60年前に出会って、いろんなことを教えてもらってきたから。あの時代の話を聞きたいなぁって時に、

「うち、おいでよ」

 って言ってくれる人でね。それで昼間から夜遅くまでお邪魔したりして。通されたのは部屋じゃない。本の中。そこでず~っと話をしても飽きなかった。喜劇も映画も音楽も、何でも知ってる生き字引で、ホント図書館みたいな人だったの。

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小林信彦さん ©文藝春秋

 喜劇王のエノケンに声帯模写の古川ロッパ。戦前に活躍したコメディアンも観てるし、森繁久彌さんや渥美清さんの話もめっぽう面白い。だから、また時間をもらっては聞いてしまう。

 知り合ったのはコント55号で人気が出てきた1967年頃で、ぼくは26歳、小林さんは35歳くらいかな。テレビの仕事が入りだしてコントを作る時間がなくなったの。自分たちはどういう方向を目指せばいいか、誰か優れた人に会って考えたくなった。それでいろんな番組を観たの。その中に『九ちゃん!』って日本テレビのシャレた番組があってね。毎回きれいな衣装を着た人が歌って踊ってコントもする。司会は坂本九さん。てんぷくトリオも出てたかな。

欽ちゃん ©文藝春秋

 局に電話して、制作者に「どうやって番組を作ってるんですか?」って訊いたら、「打ち合わせ見にくれば?」って呼んでくれたの。《続く》

《この続きは現在配信中の「週刊文春 電子版」および11月5日発売の「週刊文春」で読むことができる》

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【追悼・小林信彦】萩本欽一が告白「大きな“図書館”がなくなった」

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