痛みを感じたら特効薬を速やかに服用する
ここからは、医師の診断によって片頭痛であることがハッキリした「頭痛持ち」であることを前提として、次に頭痛発作に見舞われた時にどう対処すればいいのか――について触れていく。
「医療機関で片頭痛と診断されたら、トリプタン製剤という特効薬が処方されていることが一般的なので、痛みを感じたら速やかに服用します。この薬は血管収縮作用により片頭痛の拍動痛を鎮めると同時に、炎症の原因となる血管作動物質の放出を抑制します。ただ、発症から時間が経過するにつれて効果も薄まってしまう。頭痛が始まってから30分以内の服用が効果的です」
すでに書いた通り、片頭痛の中には吐き気を伴うケースもある。強い吐き気がある時に薬を飲むのは困難だし、せっかく飲んでも吐いてしまったのでは意味がない。
そんなケースも想定して、この薬には鼻の粘膜から成分を浸透させる点鼻薬や、自己注射薬も用意されている。
また、短期間に発作を何度も繰り返す人には、塩酸ロメリジンやバルプロ酸などの片頭痛の予防薬もあるので、医師と相談の上で自分に合った薬を選ぶといい。
心臓をゆっくりさせることが重要
もし、そうした薬を持っていないときに片頭痛が始まったらどうすればいいのか。
「片頭痛が起きているときは音や光に対して過敏になっているので、暗くて静かな部屋で横になるのが一番です。通勤や通学の途中など、横になる場所がないときは、せめて椅子に座って安静にすること」(菅原医師)
心臓の拍動に連動する頭痛なので、心臓をゆっくりさせることが重要なのだ。あわてて走り回ると症状を悪化させてしまう。
発作時に光に過敏になる人は、外出時に「茶系のサングラス」をかけると効果的だ。
なお、敏感になる対象には「匂い」もあるので、せめて発作時だけでも香水をつけている人からは遠ざかるほうが安全だ。
もう一つ、覚えておきたいのが「冷やす」こと。痛みの発信源(血管が拡張している部分)を冷却するとラクになることが多い。アイスノンや冷えピタなどの冷却剤があればいいが、それ以外で急場をしのぐ方法を、菅原医師が教えてくれた。
「コンビニやドラッグストアで凍らせて売っているドリンク類のペットボトルで冷やすのです。ロックアイスでもいいけれど、ペットボトルのほうが便利です。ただし、直接皮膚に当てるのではなく、薄手のタオルを巻いて冷やすといいでしょう」
発作が治まれば中身は飲めるし、一石二鳥のお助けアイテムだ。