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安倍晋三 首相
5年半に及ぶアベノミクスの推進により、生産年齢人口が450万人減少する中においても、経済は12.2%成長した。雇用は250万人増え、正規雇用も78万人増えた」
時事ドットコムニュース 10月15日

©文藝春秋

 安倍首相の臨時閣議での発言より。安倍首相が消費税増税に踏み切った背景には「アベノミクス」の成功によって経済成長が続いているという確信があるようだ。

 しかし、国民の多くに景気回復の実感はない。立憲民主党代表の枝野幸男氏は「消費税をいま上げるだなんて、この社会経済状況でとても考えられない」と批判した(朝日新聞デジタル 10月5日)。

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 枝野氏は「この間、消費税が上がって消費税収が増えたのに、法人税が下がっているんですよ。おかしくないか」とも指摘しているが、これは安倍政権になって以降の法人税減税の累計額が5.2兆円に上ることを指している(しんぶん赤旗 10月19日)。法人税減税が進み、企業の「内部留保」が史上最高の500兆円を突破する中での消費税増税はアンバランスではないかという指摘もある。

過去に経団連が提案した「消費税19%」というシナリオ

中西宏明 経団連会長
「今般の安倍総理の引き上げ表明を歓迎する」

日本経済団体連合会ウェブサイト 10月15日

中西宏明氏 ©時事通信社

 経団連の中西会長は安倍首相の消費税増税の表明を受けて、公式サイトでコメントを発表した。消費税増税については「先般の衆議院選挙の結果により、国民の信任はすでに得ていると理解している」とし、引き上げの際は「自動車関係諸税の抜本改革や住宅にかかる予算・税制上の万全の対策等、総合的な政策パッケージを着実に実現することが重要」とした。

 なお、経団連は2012年に、消費税を19%まで増税し、法人税は38%から25%まで下げるという提言を行っている(「成長戦略の実行と財政再建の断行を求める~現下の危機からの脱却を目指して~」)。

「私もできれば上げたくない」今回の増税は「追い込まれ増税」?

安倍晋三 首相
「私もできれば上げたくありません。それは本当にそうなんですが、昨年の衆院選で約束した幼児教育の無償化を来年
10月から始め、再来年、高等教育の無償化をスタートするには、やはり消費税を上げなければなりません」
産経ニュース 9月30日

 これは安倍首相が9月19日に党のインターネット番組に出演した際の発言。消費税増税はこれまで2度にわたって延期されてきた。

 今回も「再々延期」に踏み切るのではないかという憶測もあったというが、増税に踏み切ることになった。昨年の衆院選で自民党は消費税増収分を幼児教育の無償化などに充てると公約して勝利したので、「再々延期」すると公約違反となり、さらに安倍首相自身が「アベノミクス」の失敗を認める形になりかねないためだ。日刊スポーツの中山知子記者は「追い込まれ増税」と表現している(10月16日)。

 増税による税収の一部を教育無償化の財源にするのは衆院選の公約だが、消費税増税中止を訴える産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員の田村秀男氏は、それを「方便同然」と批判する。「消費税増税によって中低所得層を最も痛めつけておいて、子弟の教育費負担を軽減するというなら、増税せずに景気を拡大させ、それによる税収増を無償化に充当するのが合理的というものだ」(産経ニュース 9月23日)。