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望まれる“国産”の連節バス

 さて「連節バスが全国で増えてきている」と書いてきたが、じつは導入はゆるやかにしか進んでいない。なぜだろうか。法制度の壁については各地の行政・警察も特例を認めるようになってきているため、以前よりはハードルは下がった。

 依然として高いのは「価格の壁」だ。例えば、藤沢市の例では車両費だけでも約5600万円。通常の路線バスの約2000万円に比べて、倍以上の費用がかかる。輸送力の増加以上にイニシャルコストがかかってしまうのだ。メリットは大きくても全国各地へなかなか広がらない大きな理由である。

新潟市内で運行されているのはスウェーデンのメーカー「スカニア」のエンジンと台車にオーストラリアの「ボルグレン」の車体をのせたもの

 現在は、ドイツやオーストラリアやスウェーデンといった海外で車体や台車・エンジンが製造されたものしか走っていない。欧米の都市で先に普及が進んでいるため、欧米のメーカーは開発のノウハウと生産の実績を積んでいる。しかし、大きな車体のバスを輸入するためには輸送費がかさむ。さらにバス自体も日本の道路事情や法制度に合わせた特別仕様にしているため、コストがどうしてもかかってしまう。導入には国や各自治体の補助金のメニューを組み合わせて購入資金を捻出している現状もある。

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 そうであれば、国内での製造に期待がかかるところだが、これも芳しくない。2017年には、いすゞと日野が共同で連節バスを開発し、2019年には市場投入を行うと発表した。開発車両の目撃例があるものの、具体的な動きはまだ発表されていない。

「東京オリンピック」という大きな需要

 連節バス市場自体はこれから「東京オリンピック」という大きな需要が期待される。

 先日移転した築地市場の横を通る環状2号線に連節バスを走らせる計画があるのだ。この計画には幕張で実績を積んだ京成バスも関わり、東京オリンピックの際には臨海部の会場近くでも連節バスが何台も走り始める予定だ。

 さらに先日、北九州市と横浜市でも相次いで連節バスの導入が発表された。北九州では市内でも本数・乗客数が多い路線に、横浜では観光エリアを走る路線に導入されることになっている。これを機に導入コストが下がることも期待されるが、前述の通り海外製ではなかなか難しいと思われる。海外製ではアフターサポートにも不安な面がある。

 ぜひ「ものづくり大国」と言われてきた日本製の連節バスが各地を走る光景を期待したいが、さて、今後どうなるであろうか。

写真=鳴海行人