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「もしもし、アベですが……」「どちらのアベさんですか?」

 二階派は首相サイドに「入閣待機組」を4名推薦したのだが身体検査の結果、4人とも大臣になれなかった。その代わりに二階派で首相から声がかかったのが江崎氏だった。このとき、

 安倍「もしもし、アベですが……」秘書「どちらのアベさんですか?」

 とコントのような会話がなされたというほど入閣にはほど遠い人物だった。

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《安倍がそんな江崎を入閣させたのは、二階への気遣いからだった。江崎の父で元自治相の江崎真澄は、二階が秘書時代から世話になった人物だ。江崎鉄磨は、二階を「政治と人生の師」と仰ぎ、初当選以来政治行動をともにしてきた。しかも73歳。入閣待機組は誰も文句を言えない。二階は「江崎のせがれがやっと大臣になれた」と相好を崩した。》(「もしもし、アベですが…」「どちらのアベさんですか?」 入閣待機組の悲哀続く… 産経ニュース 2017年8月12日)

自民党の屋台村にて ©文藝春秋

 一見すると美談のようだが、やる気のない人物が大臣になってしまうのは有権者サイドからすると国益を損なう話だ。こんなことになったのも二階派への「気遣い」の結果である。

 急激な派閥拡大のおかげで幹事長にまで登りつめた二階氏。しかしこういう人に気遣いしなくちゃいけないとなると、その子分であるへんてこな政治家や大臣がどんどん「公の場」に登場することになる。

 次に私が何を言いたいか、もうおわかりの方もいるだろう。

 片山さつき氏である。

さすがの発信力

 この方も二階派である。片山氏の大臣就任には多くの人が驚いたが、それも二階派だからだろう。

片山さつき地方創生担当相 ©文藝春秋

 二階派出身の新大臣にはさっそくスキャンダルが出た。

「片山さつき大臣 国税口利きで百万円」(週刊文春 2018年10月25日号)

である。

 安倍首相は「片山さつきさんに入閣をしていただき(女性は)1人ということになったが、2人分、3人分 発信力を持って仕事をしていただけると期待している」と評した。たしかに早々のスキャンダル発覚で片山氏の発信力のすごさを味わった。

 長い目で見ると結局不幸なのは国民ではないか。

 二階幹事長はストロー禁止みたいに派閥の身体検査や教育を「徹底的にやれ」と指示したほうがよいと思う。

 二階派はもう国難のひとつだ。