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女性芸人とぬるぬるバトルも……

 彼女はそれまで“アイドル・須田亜香里”のイメージを保つため、人間味を出すことをタブーとしてきたという。それだけに、総選挙のステージで弱音を吐いたことで、アイドルをやめるとまで思い詰める。しかし、それを思いとどまったのは、直後に生出演したラジオのレギュラー番組(MBS『アッパレやってまーす!』)がきっかけだった。

 その番組中、正直な気持ちを語った須田は、総選挙で「“神7”(かみセブン。ここでは上位7名を指す)に入ったとき用のスピーチも用意してたのに!」と明かしたところ、共演者のよゐこの濱口優が「じゃあ、ここでそのスピーチをしてみよーぜ!」と提案してくれた。これを受けて彼女は、ここなら何を言っても楽しくしてくれるという安心感もあり、思い切って幻のスピーチを発表する。このとき、いじってもらったおかげで、《「今回の選挙の結果も、いつか本当に“おいしい”って笑える日が来るのかな」と思えた》という(須田亜香里『コンプレックス力 ~なぜ、逆境から這い上がれたのか?~』産経新聞出版)。

8月に写真集『可愛くなる方法』を発売。初版5万部と強気だったが、売上はなかなか伸びていないとも ©時事通信社

 挫折を経験して須田は一段とたくましくなった。翌16年の総選挙には「順位が落ちてもきっと“おいしい”と思えるだろう」という気持ちでのぞんで7位となり、念願の“神7”入りを果たす(17年は6位)。バラエティ番組でも、アイドルのイメージから逸脱することを恐れず、さまざまなことに挑戦している。今月放送されたTBSテレビ『オールスター感謝祭'18秋』では、「一攫千金!ぬるぬるトレジャーハンター」という企画に出場、女性芸人たちと激しいバトルを繰り広げた。これと前後して、9月には初の写真集『可愛くなる方法』(学研プラス)を出版したが、思うように売り上げが伸びず、口さがないメディアから“爆死”と書かれたりもした。だが、彼女は《それをネタにできるきっかけをいただけたし、リリース期間にもう一度(PR)できる》とけっしてくじけない(「東スポWeb」2018年10月17日)。

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「30歳までアイドルグループで活動していく」

 先述のとおり、須田は今夏、松井珠理奈不在のなかでグループを牽引する役目を担った。9月に松井が復帰するにあたっては、Twitterで《怒涛の2ヶ月、私も少しは頼もしくなれたでしょうか》(9月6日)と問いかけている。27歳の誕生日の前日には、重圧を感じながらも乗り切った夏を振り返り、《大変ではあったけど、いろんな経験をさせてもらった》と語った(TBSラジオ『伊集院光とらじおと』2018年10月30日)。これを糧に、彼女にはあらためてぜひ正式な形でセンターの座をもぎ取ってほしいと思うファンもきっと多いはずだ。

 目下の目標は、SKEとしては「毎年ナゴヤドームに立てるグループになること」、そして個人としては「30歳まではアイドルグループで活動していくこと」。ここ数年、往時の勢いを失っていたSKEも最近になって盛り返しつつあるものの、ナゴヤドームでのコンサートは2014年以来実現していない。そのなかにあって、須田が30歳までグループにいると宣言したことは何より心強い。写真集でも、ロケ先のキューバの子供たちに見せていたように、その笑顔でファンをなごませ、苦境も乗り越えてきた彼女が、これからどんなふうにSKEを導いていくのか楽しみだ。