山下貴司 法相
「数値として上限を設けることは考えていない」
共同通信 11月1日
1日の衆院予算委員会で、受け入れを拡大する外国人労働者の人数について、「数値として上限を設けることは考えていない」と説明した。改正案には受け入れ業種や人数について明記されていない。どんな業種に、どれだけの人数の外国人労働者がやってくるのか、すべてはこれから考えるということらしい。審議の前提が欠けていると野党が反発するのはもっともだ。
新たに数十万人、場合によっては数百万人の外国人労働者がやってくる。彼らは「移民」ではないのだろうか?
外国人労働者を受け入れで「国家を維持」する政策は採らないと答弁
安倍晋三 首相
「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人やその家族を期限を設けることなく受け入れ、国家を維持する政策は考えていない」
毎日新聞web版 10月29日
これも衆院本会議での発言。安倍首相はこのようなロジックで入管法改正が「移民政策」ではないと主張した。
国民民主党の奥野総一郎衆院議員は、今年2月に「わが国における政府の『移民』及び『移民政策』の定義を示されたい」という質問主意書を提出している。
政府の答弁は、「移民」及び「移民政策」の定義については「一概にお答えすることは困難である」とした上で、「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策については、(中略)これを採ることは考えていない」というものだった。安倍首相の今回の発言は、このときの答弁をそのままなぞったものである。1日の衆院予算委員会では、山下法相もこの答弁を読み上げた。
しかし、今回の入管法改正は、どう見ても「一定程度の規模の外国人労働者」を受け入れることで「国家を維持」しようとしている政策だと思うのだが……。
移民じゃないんだから、多文化共生も同化政策も関係ない?
安倍晋三 首相
「混同されたら困る。永住する人がどんどん増える移民政策はとらないと、今まで再三言っている通りだ。混同しないでほしい」
西日本新聞 11月2日
これは1日の衆院予算委員会での発言。立憲民主党の長妻昭代表代行が「多文化共生を軸に国を開くのか、『日本人になってもらう』という同化政策をとるのか」とただしたところ、安倍首相は語気を強めて反論した。移民政策ではないのだから、多文化共生も同化政策も関係ないということだろう。長妻氏は「それは詭弁(きべん)だ。永住に結びつく門戸が開かれているではないか」と反論している。
和田政宗 自民党・参院議員
「一定期間外国人労働者の力を借りるのであって『移民』ではない」
オフィシャルブログ 10月30日
安倍政権の外国人労働者に対する考え方を非常にわかりやすく示しているのが和田正宗参院議員によるこの表現だ。人手不足は困るが、移民も困る。だから、「一定期間外国人労働者の力を借りる」だけ。「移民につながらないよう様々な防止策を打って」いるという。
和田氏のブログの内容で目を惹くのが、自民党の「労働力確保に関する特命委員会」が2016年に定めた「移民」の定義だ。そこにはこう記されていた。