10月18日、かつて勤務していた山梨、山形両県での女性3人に対する強姦致傷などの罪に問われた元NHK記者の弦本康孝被告(30)が、懲役21年とした一審判決を支持した仙台高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

弁護士も本気でそんな話を信じているのか?

 弦本被告は一貫して「私は犯人ではない。私に恨みを持つ人物が遺留物として私のDNA型を現場に残した可能性がある」として、無罪を主張している。

 要は赤の他人が弦本被告の精液を何らかの方法で入手し、それを被害女性の陰部に塗り付けたということだが、そんなことが可能なのだろうか。

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 現役医師が呆れたような口調で話す。

「あり得ません。当たり前じゃないですか。よほど高度な技術を使ったら可能かもしれませんが、それには医療機関の協力がないと無理でしょう。そういう医療機関の仲間がいて、結託してやったとしたら、国家レベルの暗黒医療機関が存在しているということですよ。私はそんな医療機関の話を聞いたことがありません。弁護士も本気でそんな話を信じているのか?」

春になってから刑務所に入ろうと企む人間も

 これに対する現役弁護士の見解はこうだ。

「弁護人は『それは通らない』と説明するのが普通ですが、被告人の言いなりに弁護する御用聞きのような弁護士もいます。おそらく被告人の言いなりにならないと懲戒請求されてしまう恐れがあるので、しぶしぶ言いなりになっている弁護士が大半ではないでしょうか。国選はよほどのことがない限り、辞任できませんので、ある程度説得してもダメな場合、被告人の言いなりにならざるを得ない面があります。私選の場合、『弁護士として、そういうことはできない』と言って辞任できますので、その弁護人が私選なのであれば、ダメな弁護士ということになります」

 弁護士も、頭から被告人の言うことを信じて弁護しているわけではないのだ。

NHK記者時代の弦本被告

 となると、弦本被告は何を考えてここまで悪あがきをしているのか。

「控訴や上告の場合、未決勾留日数は大して延びません。でも、秋に判決が確定すれば、冬の寒い時期を刑務所の中で過ごすことになるので、それを避けるために上告して時間を稼ぎ、春になってから刑務所に入ろうと企む人間が現実にいるのです」(捜査関係者)