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安倍首相は「蚊帳の外」 北朝鮮とロシアの“蜜月”をウラジオストクで考えた

エネルギー利権、北朝鮮労働者ーー。不気味なまでに利害を一致させている

2018/11/30

賃金はロシア人の4分の1

 電話口の男性は、雄弁な口調で説明を加える。

「北朝鮮人の工事代金はとても安い。たとえばキッチンやバスのタイルの張替えを依頼すると、1平方メートル当たりの単価は800ルーブル(約1600円)。でもロシア人に依頼すると、3000ルーブル(約6000円)に跳ね上がります。だから北朝鮮人だと、4分1の料金に節約できます」

北朝鮮労働者の住処に向かう緊張した面持ちの筆者

 安価な労働力として重宝されているようだ。北朝鮮労働者はロシア国内の複数の会社をかけもっており、元締めのロシア人の指示に従って働きに出かけているようだった。

地下に繫がる階段

 北朝鮮人の仕事は、住居のリフォームだけではない。ソ連時代の荒廃した国営農場でロシア人に代わって農作業をしており、さらに森林地帯の奥深くで木材の伐採をしたり、建設や漁業に従事したりしている。

北朝鮮労働者(右)

ロシアで朝鮮人といえば北朝鮮人のこと

 私は9月2日、ウラジオストク市に到着した。市内の最大規模の自由市場「キタイスキー」に立ち寄ると、ロシア人の30代男性は得意満面にこう証言した。

「自分が働く建設現場では15人から20人ほどの北朝鮮労働者が働いています。すごく真面目だよ」

市内最大規模の自由市場「キタイスキー」

 この男性の声に同調するように、郊外からスイカを売りにきている60代の男性はこう豪語した。

「自分は北朝鮮人が大好きだ。ロシアでは朝鮮人(コレエーツィ)といえば、北朝鮮人のことをいう。韓国人のことではないのがポイント」

 ロシア人にとって、北朝鮮人は身近な存在だという印象を抱かせる。確かに北朝鮮人の評判は良いようだ。

キタイスキー広場で出会った朝鮮系ロシア人