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北朝鮮の大きな外貨収入になり得る

 北朝鮮側にもメリットがある。電力不足を解消できるだけではなく、韓国と中国へのパイプラインを流れる天然ガスの通過料を徴収できる。つまり、大きな外貨収入になるのである。韓国にとっても、メリットは大きい。タンカーによる液化天然ガスに代わって、ロシア産天然ガスをパイプラインで輸入できれば、電気料金は今よりも40パーセントも安くなると試算されている。

天然ガスのパイプラインが敷設されているウラジオストク市

 さらには朝鮮半島とロシアを結ぶ高速道や鉄道網を整備する計画があり、さらに中国が加わる計画が進行中だ。ロシア、中国、そして非核化をめぐって対米不信を強める北朝鮮らの反米勢力の台頭が浮き彫りになってきている。さらに北朝鮮との融和に前のめりの韓国。

 これまで利害が一致しなかった国々が、こうした経済的な事情で不気味なまでに利害関係を一致させつつあるのである。

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ウラジオストクを歩けばロシアと北朝鮮の関係性が分かる

 ウラジオストク市は、日本とは日本海をはさんだ対岸のロシア極東の経済拠点である。日本からもほど近く、成田空港から飛行機で2時間半の距離である。この地は、ソ連崩壊後、経済的理由からロシア人が都市部に流出、ロシア人に代わって、北朝鮮をはじめ、中国、中央アジア諸国、ベトナムからの労働者が大量に流れこんだ「移民天国」でもある。

キタイスキー広場で出会ったウズベク人

 この街を歩くと、今のロシアと北朝鮮の関係性がよく分かる。

 私は9月、「東方経済フォーラム」開催前のウラジオストク市を歩いた。そこで目の当たりにしたのは、北朝鮮労働者とロシア人の深い結びつき、そして彼らが北朝鮮にもたらす「経済貢献」の実態だった。

「誠実で良心的」と評価される北朝鮮人労働者

 私がその実態を知るきっかけをくれたのは、一人のロシア人男性だった。彼は、ウラジオストク市で北朝鮮からの労働者を雇用するリフォーム会社を営んでいる。8月中旬、ウラジオストク市に向かう準備を進めていた私に、電話をくれたのだった。

「北朝鮮人は自国で内装の技術を学んできていますが、なんといっても良心的に働いてくれます。ロシア語で会話でき、住人が外出しても、その隙に室内の貴重品を盗むことはしません。休日でも働き、仕事の合間に休憩をとることもしません。早朝6時半から夜11時まで作業しますので、短期間で作業を終えます」

北朝鮮労働者が勤務する会社

 経営者は、北朝鮮人が誠実に作業し、信頼できるとアピールする。国際社会では北朝鮮への不信感が根強いが、そのイメージとは対照的な北朝鮮人の誠実な働きぶりに私は驚いた。

北朝鮮労働者の住まいへの入り口