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食べログを超えた、使えるグルメ情報はなにか

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食のプロが明かすおいしい店発掘術(2) 大崎裕史×伊藤章良×子安大輔

genre : ライフ, グルメ

note

インスタグラムもむずかしいねえ

大崎 それとは逆に、定見なく叩いている人たちがいるのも事実で、残念ながら、そういう人たちのほうが注目を浴びる。辛口評論家みたいな感じで名前がどんどん売れていくわけですよ。それって、よくない傾向だと思いますね。

 私は食のレビューって、結局は食べ物に対して愛があるかどうかだと思うんですよ。ラーメンでいえば、店主がラーメンに対して愛があるかどうかがすごく重要で、愛がある店主の店を、けなしたり叩いたり、店を潰そうとしたりなんて絶対思わないわけです。

伊藤 その通り、みんなもっと楽しく食べて、おいしかったという話だけ書けばいいと思います。

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子安 でも正直なところ、食べログを批判する人は、食べログを必要以上に意識しているんじゃないかなあ。もう少しクールに向き合えばけっこう使えるいいサイトなのにと思います。

 それに、ほかのウェブサービスで食べログに代わるものがあるかと考えると悩ましい。Rettyは伸びていますが、個人的には、信頼のおけるいいレビュアーが少ないので、おいしい店探しという観点で使えるかというと現時点では疑問ですね。

インスタグラムを「#ラーメン」で検索したら

大崎 インスタグラムもむずかしいねえ。若者に「インスタでラーメンを検索しています」って言われた時にはカルチャーショックでひっくり返りそうになりました。「写真で選ぶんですよ。写真だけで充分じゃないですか」といわれたんですが、若者は写真だけを見てこの店に行きたいと思うんですかねえ。私は文章がないとよくわからない(笑)。

 ミシュランも買ったことないなあ。ミシュランに載ったかどうかはネットを見れば全部わかるし、食べログにも「ミシュランで星を取ったお店」と書かれてある。

伊藤 同感ですね。

大崎 食べログを使い始めた時に、もう少しいいツールがほしいと構想していたのと近いのが「テリヤキ」でした。少数の信頼できる人たちがお店を紹介してくれるサービスで、これが登場した時、理想のツールができたとすぐ登録したのですが、実はあんまり使っていません。使い勝手が今ひとつなのかな。

 食べログは地図として優秀なのと、やっぱりお店を調べる時にGoogle検索をかけると、たいがいトップに出てくるんですよね。やっぱりこれはすごいことですよ。

テリヤキは食キュレーターの実名投稿サイト

子安 すべての指標、ジャンルを1つのサービスで包含するのはおそらく不可能でしょう。オールアバウト的な発想になりますが、おいしいラーメン屋を知りたいなら大崎さん、鮨屋ならこの人という、自分なりのオーソリティを複数もつと信頼できる情報に近づきやすくなる。

 そういう意味では、網羅化したデータをもう一度細分化していくという「ニッチ化」はこれからのグルメサービスの流れになるかもしれませんね。

食のプロが明かすおいしい店発掘術(3)では、おいしい店を探すためにはどうすればいいかという具体的な手法について語り合っていただきます。乞うご期待!

構成=山下久猛(フリーライター)

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