二軍投手コーチとして最初に掲げるテーマ
大隣は12年に12勝を挙げた。オールスターにも出場し、13年にはWBC日本代表入りを果たした。いつも意識していたのは緩急だった。大観衆の目の前で醜態をさらした。今にも泣きそうな顔でベンチに戻った。その時の後悔の念と、大先輩の厳しい指摘が大隣をたくましくさせた。そして18年9月。大隣はユニフォームを脱ぎ、二軍投手コーチに就任することが発表された。
「今の若い子は難しいところがありますが、自分としてはどういう風に自分のスタイルを気付けるように導けるかなと考えています。大事なのはやはりまずは自分がどういう投手で、なにが一番の持ち味であるかを知る事。自分がそうだったように若い子たちもまだまだ見えていない子が多い。どうやって気付かせてあげようかなと考えています」
不思議な縁にも導かれた。公開説教を受けた時の対戦チームであるマリーンズのユニフォームに最後は袖を通し現役を引退した。そして今度はマリーンズで次代を担う選手育成に力を注ぐ。今、その眼はやる気にみなぎるようにキラキラと輝いている。「自分がどういうピッチャーなのか考えろ」。指導者として始まる第二の野球人生。大隣は自分自身を見つめ直してもらう作業をまず最初のテーマに掲げ、若者たちと接するつもりだ。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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