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みんなで一緒にトイレに行かなければいけない問題

 私たちは、いつから同調圧力社会に身を置かれているのでしょうか。振り返ると、義務教育を受けている頃にはすでにこうした同調圧力のある環境ができあがっていたように思えます。小学校の通信簿には、「クラスに馴染む力があるかどうか」を判断して書かれる欄があったし、1人だけ違った行動をすればいじめられるきっかけにもなりました。

 特に女子社会にありがちだったのが、「みんなで一緒にトイレに行かなければいけない問題」と「リーダーが嫌っている女子に対しては、グループに属する全員が口を利いてはいけない問題」。こういったしきたりが面倒臭くて仕方がなかったので私は無視して単独行動していたんですが、それも女子の反感を買う一因になっていたようで、普通にすれ違いざまに「調子乗んなブス!」と言われるようになりました。いや、たとえブスだとしてもですよ。怖すぎません? この経験を通して私は「昨日の友は今日の敵」だということを学びました。

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 中学生の頃には、部活に所属していない私に対して先生は「どこでもいいからとりあえず入部しなさい」と指導しました。理由を尋ねたところ「それが社会のルールだからだ。協調性を養うためには、部活に入ることは絶対に必要なのだ」と説明があっただけでした。ちなみにテニス部を辞めた理由も、生徒たちが集団で顧問をいじめていた環境に耐えきれなくなったからなんですけど。本当、「部活に入れば無条件に協調性が養われる」っていう考えはなんなんでしょう。

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「個性」は異物でしょうか

 大人になり、みんなで同じ格好をして同時に就職活動をして社会に出た私たちは、「3年は会社を辞めてはいけない」という誰が決めたかも分からないレールに乗せられて、そこからはみ出した者は二度とまともな人生を送れないかのように煽り立てられ、上司には逆らわないように教育をされる。それはまるで、奇妙な同調圧力だらけの世界へと突き進んでいるかのようだなーと思うわけです。
 

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 集団に同調できない人間は、コミュニティから排斥されるべきでしょうか。「個性」は異物でしょうか。

「協調性」と「同調圧力」は、まったく違うものです。協調性とは、複数の人間が同じ目的を遂行するために助け合ったり、譲り合ったりする素質のことを言います。同調圧力は、集団の中で少数意見を持つ者を強制的に黙らせることです。

「自分は社会に適応できないのではないか、協調性がない人間なのだろうか」と悩んだことがある人は、この意味を頭に置いた上で一度思い返してみてはどうでしょうか。

 あなたには「個性」や「発言力」があるだけで、問題は個性を殺そうとする集団の方にあるかもしれません。