今年で15周年を迎えた『プリキュア』が、社会問題と戦っていると話題だ。今の敵はなんと企業、その名も「クライアス社(=暗い、明日)」。なぜ女児向けアニメの敵役をブラック企業にしたのか? 東映アニメーションの内藤圭祐プロデューサーに聞いてみた。(好評発売中の「週刊文春エンタ!」より)
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クライアス社のブラックぶりを内藤Pに直撃
「今から約2年前に企画を組み立てている段階では、世に蔓延している社会問題を切っていこうという意図はまったくありませんでした。『HUGっと!プリキュア』のモチーフが“お仕事”と決まると、敵対勢力を企業組織にすることで子どもたちにもわかりやすく伝わるだろう、と。するとシナリオ会議ではいろんなアイデアが飛び出しましたね。もう愚痴も経験談も入り乱れるように(笑)」
クライアス社の社長、ジョージ・クライ(常時、暗い)をはじめ、社員キャラもリストラが「リストル」、バブルが「パップル」……と、お父さん層の興味を引く要因にもなっている。クライアス社のブラックぶりを内藤Pに直撃してみると「領収書は切れますし、直行直帰もできる。ですからわりとホワイト企業なんじゃないかと(笑)」と意外な返答が。しかしながら敵を企業モチーフにしたことで、「例年にはなかった媒体に掲載されるという、これまでにない広がり」もあったという。「意外な需要があったんだなと、私たちも驚いています」。