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「医療問題」「教育改革」もチェック

(4)「医療問題」は、新しい技術が登場すると、かならずそれに絡めた問題が出てきます。それは倫理・道徳と絡める形で、このような研究を制約なしに進めていいのか、といった文脈の出題がよくあります。iPS細胞の実用化も進んでいますし、今年のノーベル賞は2年ぶりに医学・生理学賞を日本人が受賞しましたので、チェックしておく必要があります。

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 それから、2020年に大幅な(5)「教育改革」が予定されていますので、それに向けてどうするか、という視点も重要です。アクティブラーニングとか、クリティカルシンキングといった用語が、少なくとも何のことを言っているのかくらいは押さえておかなければ、出題されたときに立ち往生してしまいます。

 それから、トランプ米大統領の行動ひとつひとつの是非ではなく、それに絡める形で、(6)「保護主義・グローバル化・移民問題」といったものが出される可能性は高い。

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(7)「パワハラ・セクハラ」も同様です。財務省の福田淳一前次官の問題や、ハリウッドから広まった「#Me Too」運動もありましたから、これは(8)「ジェンダー問題」と絡めて、かなりの確率で出題されるでしょう。

 スポーツ系や教育系の学部では、夏の甲子園で話題になった(9)「金足農業高校の吉田輝星投手の投球回数」の是非がきっと出されると思います。スポーツ科学の視点や、根性論といった教育の視点など、さまざまな論点があります。

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 流行に関係なく必ずどこかで出題されるのが、(10)「高齢化問題」。これは出題者にとって切迫した自分の問題なので、よく出されます。小論文の出題者は、ベテランの教員が担当しますから、40代後半から50代の人が多い。そうなると、自分の親の世代が、まさに高齢者ですから、事態の深刻さがよくわかる。そこで自分の専門と絡めて、この問題を出したくなる。高齢者医療、ターミナルケア、介護保険、QOL(生活の質)といったテーマは、毎年必ず出されています。ここを押さえておけば、さまざまな問題で、根拠として使えるので、ぜひ学習しておくべきところです。

 これを読んだ受験生の諸君が、今日から対策を始め、来春、見事合格することを祈っています。

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