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「豚そば 成」は、なぜ12球団のファンが集まるラーメン屋になったのか

文春野球コラム ウィンターリーグ2018

2018/12/16
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野球が繋いでくれたお客さんとの縁

――好きな選手は?

「巨人・菅野選手です。真っ向から勝負するエースっぽいところが好きですね。主力から三振を取りに行く姿勢がカッコいいです。でも背番号18は個人的にはナシですね。菅野といえば19でもう慣れ親しんでいましたし、上原が来ても渡さなかった番号なのに今更変えなくてもとは思います。今年は沢村賞のプレッシャーが大きく、投げすぎだったので、来年反動が来ないといいなと思っています。由伸前監督とは野球部時代に試合をやったこともあります。ホームランを打たれましたが今や誇りです(笑)」

 お父さんが長嶋ファンだったこともあり、幼い頃から巨人ファンの指村さん。中学・高校時代は野球部で、高橋由伸だけでなく井端、野村克則と試合をやったこともある。松井秀喜と同い年で、甲子園の明徳義塾戦で松井が5打席連続敬遠を受けた時は、部員全員でテレビの前で泣いたという。そんな松井が長嶋監督率いる巨人に入った時は本当に嬉しかったそうだ。

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――野球好きで得したことは?

「野球が繋いでくれた縁に感謝ですね。お客さんが地方の球場でお土産を買ってきてくれたり、うちの子供を球場に連れて行ってくれたり、本当にありがたいです。チケットやグッズのネットワークもできましたし、楽しいですよ。何しろ野球の話がお客さんとのコミュニケーションになっていますからね。ナイターがない日の売上が落ちちゃうのが玉にキズですけど(笑)」

 指村さんはこう話しているが、お客さんから恩恵を受けているだけではもちろんない。お店に12球団のファンが集まるようになったため、巨人だけに飽き足らず、ヤクルト、横浜、楽天、ソフトバンクのファンクラブにも加入。野球好きの子供のためにチケットを取ってあげるなど、もはやラーメン店主の範疇を大きく超える手厚さだ。

店内には様々なグッズが飾られている ©井手隊長

――野球好きで損したことは?

「お客さん同士のケンカが始まることですね。酷い試合だと罵り合いになったりして、私がレフリー役で止めに入っています(笑)。あとは、お店をやっていると球場になかなか行けないのが辛いです。お店を閉めてまでは行くわけにいかないので、子供と奥さんだけでも行ってもらうようにしています」

 巨人の荒れ試合では指村さんがヒートアップすることもある。そんな時は奥さんがレフリー役に回る。試合運びによってラーメン作りに影響が出ないといいが、このお店の評価を見る限りそこは問題なさそうだ。「成」のラーメンの味の更なる向上のために巨人には頑張ってほしい。

――来年期待したい選手は?

「巨人の岡本選手ですね。補強はやはりつまらないとは思います。まずは4番の岡本がしっかり来年も30本打つこと。来年は今年と違ってマークされるでしょうからなかなか大変かもしれませんが、頑張ってほしいと思います」

――お店に来てほしい選手は?

「やはり地元横浜なので筒香選手に来てほしいですね。横浜はコーチ、スコアラー、寮長まで来ているので、ぜひ! これを読んだプロ野球選手の方、ご来店いただいたらラーメン1杯ご馳走しますのでぜひどなたでもいらしてください!」

「豚そば 成」は定休日を設けていない。10年間で30日休んだかどうかというぐらい休まないお店だ。休む時は野球の移動日を選ぶなど、そこも野球ありき。毎日店に出て朝から晩まで働いているが不思議と辛さはないという。大好きなプロ野球の話をしにお客さんが集まってくれるからだ。それがストレス発散になるし、逆に負け試合の時はストレスになることもある。毎日が野球とともに忙しく過ぎて、早10年。気づいたら美味しいラーメンもたくさんの人に食べてもらえるようになった。

豚そば 成

神奈川県横浜市港南区下永谷3-4-6 森元ビル 1F
045-827-2361

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