千葉ロッテマリーンズキャンプ中盤の2月9日の夜。石垣市内のチーム宿舎のミーティングルームに選手たちが集結した。集まったのはルーキー9人と高校卒業後4年目までの選手たち。熱気に包まれた会場で行われたのは「口腔(こうくう)健康セミナー(健口講義)」。プロ野球では異例でマリーンズでも初となる講義に選手たちは興味津々に聞き入った。
ガムを噛むことの重要性を再認識
「噛むことは顎だけではなく、首の筋肉や他の部分にも影響する。噛む力は鍛えられる。噛む力が強くなれば、脳が活性化して反射神経もよくなる。握力が上がるメリットもある。ガムなどを噛むことを習慣化して欲しい」
教壇に立った東京歯科大学スポーツ歯学研究室の武田友孝教授はそのように力説した。教授は、スポーツ歯学の研究に従事し、咀嚼(そしゃく)や咬合と全身状態との関連の解明を行っており、1997年から日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ・スポーツドクターも務めている。選手たちは初めて聞いた噛むことに関する講義を興味津々に聞き入った。同教授は「宇宙食は最初、流動食だったが、宇宙飛行士は体調を崩した。かまないと胃腸を動かす準備ができず、体調は崩れやすい」と力説。また、ガムをかむ前とかんだ後での「ひざを伸ばす筋力」の強さを測定した実験では約15%、かんだ後の方が、数値が向上した結果も示すなど興味深い内容となった。
講義中、メモを取っていた成田翔投手は「噛むと良い事が一杯であることが分かりました。噛むことは毎日の生活の中でなにげなく繰り返しているけど、スポーツに役立つ力となる」と感想を述べた。幸いな事に千葉ロッテマリーンズは練習日、試合日ともにベンチにはガムが常備されており、誰でも好きなタイミングで好きなだけガムを噛むことが出来る。元々、集中力を高めるために、そして集中の連続で脳が疲れてきた際にガムを噛むと良い効能があるということで、積極的に推奨されてきたがこの講義によって選手たちは、よりガムを噛むことの重要性を再度、理解した形だ。