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しかし4人は家族でも、友人同士でもありませんでした。1人はその部屋の住人でしたが、残りの3人はSNSを通して集まった、おそらく初対面の自殺志願者たち。練炭を用いた集団自殺でした。
4人は閉め切った室内で練炭を燃やした……
前回の記事の中で、「集団自殺はなぜ練炭で行われるのか」について述べました。首つりや刃物を用いた集団自殺では、誰かが失敗する可能性が高く、そうなると「自殺を装った殺人事件ではないか」と疑われることにも繋がる――というのが、その大きな理由でした。この事件でも、4人は確実に全員で死ぬために、閉め切った室内で練炭を燃やしたのでしょう。
ただ、大家の立場からすると、4人もの人間が同じ部屋で集団自殺するというのは、とてもショックが大きいはずです。たとえばこれが飛び降り自殺であれば、遺体が発見されるのは屋外になるので、部屋そのものは直接の死亡現場にはなりません。ただ、練炭自殺となると、正真正銘「この部屋で○人が死んだ」ということになり、その影響を考えると、経済面でも大家へのダメージは少なくないでしょう。
すぐに忘れ去られてしまった事故物件
この事件は、当初こそ大きく報じられたものの、殺人というわけでもなく、有名人や小さな子供が亡くなったわけでもなかったので、続報はなく、すぐにほとんどの人から忘れ去られてしまいました。しかし、私はその現場の住所を確認して驚きました。そこはすぐ近くにあと2ヶ所、とても印象的な事故物件がある場所だったからです。
ここで公平を期すために、というと少しおかしいかもしれませんが、一応補足しておくと、高層マンションなどが集まるエリアに事故物件がいくつも存在している、ということ自体は、実は当たり前のことです。