文春オンライン

メガネを外したときに「絶対にやってはいけない」3つのこと

プロに聞いた、正しい保管方法とは……?

2020/04/13

自己流の応急処置はしないほうがマシ

――先ほどレンズのコーティングが剥がれると、もう元には戻らないというお話がありました。使っているうちに不具合が起こる中で、「これは修理が可能なのか?」と判断が付かないこともあります。

古川 もし不具合が起きたら、ぜひそのままの状態でお店にお持ちください。間違った応急処置をすると、余計に修理の難易度や費用まで高くなってしまうことがあるからです。たとえば折れたパーツを瞬間接着剤で付けてしまうと、修理の前に接着剤を落とす作業が必要となりますし、状態がより悪くなりかねません。また、踏んでしまうなどして変形した際も、自分で直そうとするとフレームに力が掛かりすぎて、最悪パーツが折れてしまうこともあります。

――すぐプロにお願いしたほうがいいわけですね。では、「修理できるもの」と「できないもの」の判断基準について、よくある事例を教えていただけますか。

ADVERTISEMENT

古川 たとえば、つるの部分がパタパタと緩んでしまうことがありますよね。この場合、ネジが緩んでいることが原因であれば、ネジを締めるだけですぐになおすことができます。ですが、前枠とつるを繋いでいる「蝶番」と言われる部分のパーツが破損している場合は、修理をするのにお時間や費用をいただく必要が出たり、替えのパーツが廃番などで入手困難な場合には修理ができないこともあります。

メガネはいろいろなパーツからできている

――蝶番は、消耗しやすいパーツのひとつですね。では、レンズについてはいかがですか。

古川 まずひとつに、プラスチックレンズは長く使っていると次第に黄ばんできますが、この黄ばみは元に戻らないので交換が必要となります。表面に傷がついた場合も、修復はほとんど不可能です。

 また、レンズの下にフチがない「ハーフリム」「ナイロールフレーム」といわれるタイプのものは、レンズをナイロン製の糸で留めているのですが、この糸が何かしらの衝撃や経年劣化によって切れると、レンズが外れてしまうことがあります。この場合ナイロン糸を交換すれば元に戻りますので、レンズとフレームをお持ちください。糸が特殊なものでない限り、10~15分程度で修理が可能です。

レンズの下にフチがないタイプのメガネ

メガネを長持ちさせるためには……

――レンズ自体が割れたりしていなければ、案外早く修理できるんですね。

古川 またメタルフレームの場合、レンズを留めているネジが緩んだり抜けたりすると、同様にレンズが外れることがあります。万が一ネジを紛失してしまっても、規格品であればネジを新たに付けることで元に戻ります。ですが、ネジがネジ穴の中で折れてしまっていたりすると取り出すことが難しく、しばらくお時間をいただく必要があります。

――突然の破損で困らないためにも、定期的にお店でメンテナンスをしてもらうと安心ですね。

古川 そうですね。お客様のメガネの状態を確認して、必要であれば先ほどお話ししたナイロール糸や、汚れたノーズパッドなどを交換させていただきます。

 メガネを長持ちさせるためには、日々の正しい取り扱いが大切です。“メガネの掛け外しは必ず両手で丁寧に行なう”など日々の取り扱い方に気を遣うだけで、メガネは格段に長持ちします。快適な視界を得るためにも、正しい使い方をぜひ心掛けてもらえたらと思います。

取材協力:「イワキメガネ」神保町三省堂店(4月8日以降、当面は臨時休業)

 写真=山元茂樹/文藝春秋

メガネを外したときに「絶対にやってはいけない」3つのこと

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー